公捜処は大統領の親衛隊?野党反対の場合は処長候補にもなれず
2019/10/18(金) 12:05配
高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が検察改革の主要イシューに浮上し、与野党が公捜処の設置法案をめぐって第2のファストトラック大戦を繰り広げる構えだ。現在、ファストトラック(迅速処理対象案件)に上がっている公捜処法案は、共に民主党のペク・ヘリョン議員発議案(ペク・ヘリョン案)と正しい未来党のクォン・ウンヒ議員発議案(クォン・ウンヒ案)の2つだ。
■大統領の意志で動く組織?
ファン・ギョアン自由韓国党代表は17日、国会で開かれた党最高委員会議で「文在寅(ムン・ジェイン)ゲシュタポを作って親文(文在寅支持派)独裁を推し進めるためのもの」だとし、「公捜処は結局、大統領の意志で動く独裁的捜査機関になるだろう」と主張した。「大統領が捜査処検事を任命する」(ペク・ヘリョン案)または「人事委員会の推薦を経て、公捜処長が捜査処の検事を任命する」(クォン・ウンヒ案)という条項を狙ったものとみられる。しかし、(ファン代表の発言は)両案とも野党が反対する場合は公捜処長になれないように設計された点を見逃している。また、このように任命された処長が「捜査処検事の任命に提請権を行使する」(ペク・ヘリョン案)点なども無視した指摘だ。
「ペク・ヘリョン案」と「クォン・ウンヒ案」によると、公捜処長は国会の公捜処長候補推薦委員会が候補を2人選び、大統領がそのうち1人を指名した後、国会人事聴聞会を経て任命する。クォン・ウンヒ案は処長の任命に「国会の同意」を必須要件として追加した。推薦委は7人で構成されるが、議決のためには6人の賛成が必要だ。7人のうち野党が推薦する委員が2人なので、野党が反対する人物は候補になれない。
自由韓国党は、「公捜処が民弁出身の弁護士で構成されるだろう」「政治的偏向性を帯びた人物が捜査処の検事になるだろう」などと主張している。「ペク・ヘリョン案」と「クォン・ウンヒ案」には捜査処検事の資格要件として、「10年以上の捜査・裁判経歴」のほかに「10年以上の捜査実務経歴」が含まれているが、これを根拠にセウォル号特調委や検察の過去事委などで活動した人たちが採用されるだろうと疑っている。「捜査処検事全体の人数の最大半分まで元検事出身を採用できる」(ペク・ヘリョン案)という条項は、「残りは民弁出身の弁護士たちが占めるだろう」という疑いの根拠になっている。しかし、このような指摘は、公捜処がもう一つの検察組織になることを防ぐために設けられたものにすぎず、そもそも野党が同意しない人は公捜処長になれない構造を見逃した指摘とみられる。
「公捜処が権力型不正を隠蔽するのに悪用される」という指摘もある。公捜処が他の捜査機関に「事件を引き渡すように」要求できる権限を持っているために出た発言とみられる。「ペク・ヘリョン案」や「クォン・ウンヒ案」のいずれも、他の捜査機関に「公捜処の移牒要求に応じる」よう定めている。しかし、これは「公捜処が100%与党の思い通りに動く」という前提から出発したものだ。公捜処に事件を渡した捜査機関が、その後必然的に公捜処の処理結果を注視するようになるという点も、あえて無視した主張と言える。
■ なぜ公捜処だけ捜査権と起訴権を同時に持つのか?
公捜処に捜査権と起訴権を与えるのは、「捜査権と起訴権を分離しようとする検察改革の流れにも逆行する」という主張もある。ナ・ギョンウォン院内代表が同日、「共に民主党は検察特捜部の縮小を 『チョ・グク印の検察改革』のトレードマークだと言ったのに、『特特特特捜部』に等しい公捜処を作るなど、自家撞着と自己矛盾に陥っている」と主張したのも、こうした脈絡からだ。しかし、共に民主党は、公捜処が高位公職者の捜査だけを担当するもので、起訴権を与えることも当初の趣旨自体が検察の起訴独占権を牽制するための措置であることから、検察と公捜処を同じ線上で比較することは無理だと見ている。
公捜処が別の“恐竜”または“屋上屋”になりかねないという懸念もある。これに対して共に民主党のパク・ジュミン検察改革特別委員会委員長は「公捜処検事はおよそ20~25人ほどだ。巨大な機構を作るわけではない」とし、「検察に対する牽制(けんせい)、高位公職者に対する部分的な捜査などを担当するものであるため、『屋上屋』という表現は合わない」と述べた。
キム・ウォンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
最終更新:2019/10/18(金) 12:06
ハンギョレ新聞