絵ハガキ・東京モスリン争議(年不明)
1926年の紡績・染色工場争議(読書メモ)
参照
「日本労働年鑑第8集/1927年版」大原社研編
「日本労働運動史年表第1巻明治・大正編」青木虹二
1926年も実に多くの紡績、染色工場で労働者が立ち上がった。とりわけ紡績工場は圧倒的に多い女性たちが決起した。神奈川の富士紡保土ヶ谷工場3,000名、東京亀戸の東京モスリン亀戸工場は2,500名、宮城の旭紡績会社1,200名の大争議やわずか数名の工場など全国で闘いが繰り広げられた。争議の多くは評議会系が多いが、東京モスリンなど総同盟系もある。なんと評議会と総同盟が途中まで手を結び共同戦線として闘われた東洋紡績三軒家争議もある。大阪の攝津染工場は朝鮮労働組合の闘いである。またこの年もたくさんの友禅工組合で朝鮮人労働者が日本人労働者と共に闘った。
1926年(大正15年)における主な紡績・染色工場争議
1月 石綿紡績工場(大阪) 参加人数80名 評議会
1月 小林友禅工場(大阪) 57名 日本友禅工組合
1月 伊都製糸会社(和歌山) 412名
1月 五綾石綿紡織所(大阪) 64名 評議会・大阪造機船労働組合
1月 竜東館製糸場(長野) 145名
2月 河野信用組合公正館製糸場(長野)100名
2月 武田友禅工場(大阪) 41名 日本美術友禅工組合
2月 大阪紡績会社(大阪) 150名 評議会・泉州紡績労働組合
2月 大阪友禅工場11社(大阪) 数百名 日本美術友禅工組合
2月 北泉紡績会社(大阪) 500名 評議会・泉州紡績労働組合
2月 洛西美術友禅工組合(京都) 250名
2月 大阪製麻会社(兵庫) 290名 播津労働組合
3月 松坂木綿株式会社(三重) 320名 三重県労働組合
4月 小宮山製糸工場(長野) 101名
4月 東洋麻工会社(栃木) 総同盟
4月 日本形染会社(静岡) 200名 浜松合同労働組合
5月 富士瓦斯紡保土ヶ谷工場(神奈川) 3,000名 評議会
5月 岡崎紡績会社(愛知) 260名
5月 府中織物会社(大阪) 109名
6月 清水染工場(京都) 50名 評議会
6月 近江絹糸紡績(滋賀) 44名
6月 日清紡績亀戸工場(東京) 評議会・東京合同労働組合
6月 倉敷紡績万寿工場(岡山) 147名 評議会・岡山合同労働組合
6月 上毛モスリン会社(群馬) 千余名
7月 喜多合名会社猪名川染織所(兵庫) 81名 総同盟尼ヶ崎連合会
7月 田村友禅工場(大阪) 90名 日本美術友禅工組合
7月 丸与染工場(東京) 98名 評議会・豊島合同労働組合
7月 倉敷紡績万寿工場再争議(岡山) 150名 評議会・岡山合同労働組合
8月 東京モスリン亀戸工場(東京) 2,500名 総同盟・関東紡績労働組合・関東合同労働組合
8月 東京モスリン金町工場(東京) 亀戸工場ストへの同情スト 総同盟・関東紡績労働組合
8月 内外紡績会社(愛知) 150名
8月 日本美術友禅工組合(大阪) 1,800名 美術友禅工組合
8月 東洋紡績三軒家工場(大阪) 評議会・総同盟
8月 日出紡績姫路工場(兵庫) 100名
8月 鳥越など13の捺染工場(広島) 70名 職工同盟会
8月 飯島製糸工場(山梨) 80名
9月 郡是製糸工場(山形) 96名
9月 福釜錦糸組合(愛知) 70名
9月 東京染布株式会社(東京) 100名 総同盟・関東合同労働組合
9月 小口館製糸工場(埼玉) 340名
6月 日本絹織会社島田工場(静岡) 100名 評議会・島田合同労働組合
6月 清水染工場(京都) 49名 評議会・京都織物労働組合
9月 永井撚糸工場(大阪) 40名
9月 倉井友禅工場(京都) 30名 評議会
9月 近江帆布味見工場(岡山) 1,500名
9月 東京毛布会社(千葉) 300名 総同盟
10月 紀の川製糸所(和歌山) 288名
10月 藤田製糸工場(福島) 208名
11月 日清紡績西新井工場(東京) 91名
11月 田島館製糸工場(長野) 88名
11月 溝口メリヤス工場(東京) 80名 評議会
11月 攝津染工場(大阪) 30名 朝鮮労働組合
11月 赤坂友禅工場(京都) 48名 京都染物労働組合
11月 大日本紡績高田工場(奈良) 50名 評議会・農民組合
11月 森下紡績広島工場(広島) 324名
12月 旭紡績会社(宮城) 1,200名 評議会・労農党
12月 隠岐製糸組合(島根) 50名
以上