写真・1924年婦人参政権獲得期成同盟会(市川房江ら)
1924年主な出来事(読書メモ)
参照
「日本労働運動年表史」第一巻明治大正編 青木虹二
「社会・労働運動大年表Ⅰ」大原社研編 労働旬報社
「日本の労働組合100年」同上
1924年
【この年、差別糾弾闘争1046件で戦前のピーク、被検挙者数は257人】
【この年、全国の労働学校数27、神戸・尼崎・京都等に開設。関西労働学校聯盟は山本宣治が委員長】
【この年、釜山より日本に渡航した朝鮮人は12万2215人、帰国した者7万5430人】
【1923年~24年、組合員数が一挙に10万人以上増えたのは、国際労働会議代表選出で総同盟に対抗するため当局が海軍工廠などで上から組合を組織したから。もう一つは交通労働者の広範囲な全国決起が主な理由】
主な出来事
1.20 第一次国共合作。中国共産党は国民党(孫文)と手を結び日本侵略軍と闘った。
1.21 レーニン没
1.22 英国、第一次マクドナル内閣。労働党初めての政権
2.01 英国ソ連を承認(2.7イタリアも承認)
2.10~12 日本労働総同盟〈方向転換〉大会。前年の第一次共産党事件、大震災時朝鮮人虐殺と戒厳令・亀戸事件・大杉栄暗殺・朴烈事件等の無慈悲な権力弾圧(ムチ)と震災救済の政府から総同盟に莫大な資金提供やILO労働者代表選出方法の変更や普選実施の公約などの懐柔政策(アメ)で、すっかり動揺した総同盟右派幹部の社会主義者の排除や普選やILO労働者代表に対応する〈現実路線〉への方向転換。
2.11 官業労働総同盟が正式に成立
2.15 政府、ILO労働者代表選出方法を変更。今までの労働組合無視から労働組合を基礎とする選出に変更。その結果、この4月総同盟鈴木文治が代表と決まる。
2.17 亀戸事件の組合葬、青山斎場。総同盟や反総同盟傘下の組合が全国から参集
2.20 南葛労働会・関東機械工組合ら5つの戦闘的労働組合が総同盟に加盟
2.22 南葛労働会が東京東部合同労働組合となる
2月末か3月初め 日本共産党解党決定。前年の第一次共産党事件、亀戸事件など権力弾圧が強まる中で、留守中央委員会が決定した。荒畑寒村のみが反対した。
3.01 産業労働調査所。日本労働総同盟の主導で、全日本鉱夫総聯合会調査部を引き継いだ。野坂参三や加藤勘十など広範囲の人々が参加し鉱山病のヨロケ調査など各種の調査を実施した画期的社会運動。後3.15事件、4.16事件で弾圧されるも1929年野呂栄太郎など先進的研究者、運動家により再建され活発な活動を展開したが、権力の弾圧により33年5月に活動を停止した。
3.08 中国、上海工団連合会結成
3.16 海軍労働組合連盟。政府のILO労働者代表選出方法変更を受けて、海軍当局は労働組合結成を認めたため、各工廠で組織化が進んだ。5団体4万7千人に達した。
3.23 戦闘的労働組合(関東印刷労働組合、時計工組合)が総同盟に加盟。4月までに東京東部合同労働組合など全部で6組合が総同盟に参加
4.05 イタリア新選挙法によりファシスト大勝利
4.10 デンマーク、社会民主党政権成立
4.18 朝鮮労農総同盟創立。南朝鮮労農同盟とソウルの労農大会が合同して成立。綱領は「労農階級の解放と完全な新社会の実現」「徹底的な資本家階級との闘い」などで174団体が参加。4.20 総同盟・関東鉄工組合大会、主事選出をめぐり左右の対立激化
4.20 中部日本農民組合創立。岐阜県を中心とする最大の農民組合、国家主義的・農本主義的綱領を掲げたが、小作料減免争議では大きな成果を上げた。
4.27 日本フェビアン協会。安倍磯雄・山崎今朝弥・菊池寛らがイギリスのフェビアン協会にならい創立。25年解散。
5.01 第五回メーデー
5.01 東京市電従業員自治会1万人決起。1920年争議で壊滅させられた日本交通労働組合の後を受けて組織された。市電労働者は、〈民衆共存〉の途を労働組合に求めた。24年暮れ自治会は待遇改善を求めてサボタージュ闘争になり、当局もやむなく労働団体として承認した。
5.10 総選挙、護憲三派、憲政会152、政友会102、革新ゴラク部30で圧勝。6月11日憲政会加藤高明内閣成立(政党政治の開始)。
5.11 フランス総選挙、社会党・急進左派などの左翼連合が勝利(6.15エリオ急進社会党政権成立)5.15 アメリカ、日本人移民禁止法可決。アメリカ全土で日本人労働者への排外・差別が吹き荒れる。
5月 ドイツ、ルール地方炭鉱労働者労働時間延長反対の大ストライキ
5.22 全三池争議、5月賃上げ闘争開始、6月ストライキ参加者1万人。全面敗北
5.25 南海電鉄阪堺線労働者ストライキ(5.29妥結、6.26に8時間制要求でスト、7.11敗北)
6.10 イタリア、ファシストにイタリア統一社会党書記長暗殺される
6.11 第一次加藤高明内閣成立、護憲三派の連合政権発足
6.13 横浜市電共和会結成
6.17 コミンテルン第5回大会(~7.8)
6.27 大阪市電争議2千人高野山ろう城闘争。4千数百名を組織した西部交通労働同盟は、8時間制や賃上げを要求しストに突入。官憲は組合26名幹部の検束など激しい弾圧を加えた。171人の解雇を出して敗北。西部交通労働同盟も解散させられた。
6.28 政治研究会創立大会。普選実施を前に安倍磯雄・大山郁夫・賀川豊彦らで結成
7.05 京都市電向上会結成
7.11 大阪市電従業員組合結成
7.22 小作調停法制定。激化する小作争議を抑制する目的で作られた。
8.17 横浜合同労働組合結成
8.23 英国、全国少数派運動。資本主義打倒のために労働者大衆を組織することを目的とした運動。
9.01 福田雅太郎陸軍大将狙撃事件。関東大震災時の関東戒厳司令官で暴力的治安維持を命じた福田雅太郎陸軍大将を、大杉栄の仇討ちとしてアナーキストが狙撃したが失敗。実行犯古田大次郎は翌25年死刑。和田久太郎は無期懲役で28年秋田刑務所で自殺。
9.14 学生社会科学連合会。加盟49校、会員1500人。学生運動を無産階級運動の一翼と位置づけ、軍教反対闘争など画期的広範囲な学生運動を繰り広げた。
9.21 サンジカリスト系の関東労働組合連合会結成
10.01 日本労働総同盟別子労働組合結成。8月の労働者11人解雇に抗議して1500人で結成。解雇撤回はできなかったが300日分の解雇手当支給を実現。
10.05 総同盟・関東労働同盟会大会で左派4組合抗議の退場、11.16理事会で渡辺政之輔ら6人の除名決議
10.10 政府、第一回全国労働統計実地調査。我が国最初の統合的労働統計調査で原則30人以上の工場・鉱山の労働調査、3年毎に行った。
10.11 関東鉄工組合理事会が紛糾のため流会
10.28 フランス、ソ連承認
10.29 英国、総選挙で保守党勝利、労働党政権崩壊
11.02 東京印刷工組合結成。信友会と正進会(新聞工組合)の合同。サンジカリストの影響が強く、総同盟の現実主義を強く批判しながら、活発な職場闘争と治安維持法反対闘争などを闘った。
11.02 朝鮮、東洋拓殖会社農場の小作人の争議
11.09 関西労働組合自由連合会結成(アナ系)
11.10 中国、孫文「北上宣言」発表
11.13 虎ノ門事件の難波大助大逆罪で死刑判決、15日死刑執行。判決をきいた難波大助は、「日本無産者労働者、日本共産党万歳、ロシア社会主義ソヴェト共和国万歳、共産党インターナショナル万歳」と叫んだ。
11.27 日本交通労働総連盟が大坂で結成
11.27 東京市営バスに初の女性車掌300人採用
11.26 モンゴル人民共和国成立
11.30 伏石争議、香川県の小作争議。小作農民200名の決起、官憲は24名の起訴など激しい弾圧を加えた。
12.06 総同盟・関東鉄工組合内の右派11支部が脱退し、東京鉄工組合結成
12.10 総同盟関東労働同盟会、左派4組合を除名。総同盟内左右対立が激化。
12.13 婦人参政権獲得期成同盟会結成、市川房江など。翌25年婦選獲得同盟と改称
12.18 総同盟・関東労働同盟会から除名された東京東部合同など6組合は、総同盟本部直属となる。12.20、6組合は関東地方評議会を創立
12.29 労働者募集取締令。女工募集などで弊害が拡大し〈誇大虚偽ノ言辞ヲ弄〉の禁止など。
12月 スターリン「一国社会主義論」を公表