■神統譜の主軸
伊耶那岐神(いざなきのかみ)
↓
最高の皇祖神・天照大神
↓
天之忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)
↓
天孫・邇邇芸命(ににぎのみこと)
↓
山幸彦・日子穂穂手見命(ひこほはでみのみこと)
↓
神武天皇父・鵜草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)
■この神統譜の前に万物を創成する神々と、その横に古代諸氏族の祖先を代表する意図をこめた出雲系の神々や九州の隼人系の神々を対置して構成される
天之御中主神
↓
高御産巣日神
神産巣日神
↓
伊耶那岐神
伊耶那美神
↓
皇祖神・天照大御神
出雲系始祖神・須佐之男命
↓
天照大御神
大国主神
↓
天之忍穂耳命
↓
邇邇芸命
↓
日子穂穂手見命
隼人族始祖神・火照命
↓
神武天皇父神・鵜草葺不合命
■天皇の神権統治の根源と由来を表した神話
天つ神(天之御中主神以下の創世神)
※国土の修理固成の詔
※天の沼矛
↓
神授・伊耶那岐神
※三貴子の分治の詔
※天照大御神だけに御頚珠(おくびたま)
↓
神授・天照大御神(高御産巣日神)
※豊葦原水穂国統治の詔
※鏡・玉・剣の神器
↓
神授・邇邇芸命
↓
歴代の天皇
この神詔と神器の神話を核として、さまざまの神話が組み込まれている。これらの神々は一定の場所に登場して活躍している。しかもその空間はそれぞれの神の系譜・性格・祭祀・伝承などと密接に結び付き、神話圏ともいうべきものを形成している
★高天原神話圏
創世から天照大御神の岩屋戸こもりまで
★筑紫神話圏
天孫降臨以下の日向三代
★出雲神話圏
須佐之男命の大蛇退治から大国主神の国作りまで
★高天原・出雲の接合神話圏
葦原中国の平定から大国主神の国譲りまで
このように神話の大筋を見ると、神権思想に支えられた、政治色の濃い宮廷神話であることはいなめない
しかし、実際に古事記を読んでみると、そのような政治色はあまり感じられない。それは素朴な文体リズムに乗って古代人の天真な魂からほとばしる自然な声そのものとして語られているからである。真心に裏づけされた美しい自然の規律である。
古代人の語りによって、高天原、葦原中国、黄泉国、生死観、罪穢観、物の起源、生産の原理、諸の祭祀、通過儀礼など、重要文化や諸観念が自然の規律として語られているのである
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます