天皇が国民に大命を伝えるのに、「宣命」(せんみょう)というものがある。その宣命の冒頭に決まっている詞が書かれる
現(あき)つ御神(みかみ)と大八島国(おほやしまくに)知らしめす天皇(すめら)が大命(おほみこと)らまとのたまふ大命を、集(うごな)はり侍る皇子等、王等、百官(ももつかさ)の人等、天下の公民(あめのしたのおほみたから)、諸聞きたまへとのたまう
天皇は現人神(あらひとかみ)として、その聖なる権威によって日本国家を統治するのだ、というのである
この現人神の【聖なる権威】の根源は何か?この根源と由来を説くために、【一祖多族】の観念のもと、まとめた説話が神代の物語である
神話の主題は、日本国家を治める現人神・天皇の神権の根源とその由来を説くことであろう
この主題をもとに、古事記を神話は、天皇の祖神たちの神統譜と説話を主軸にし、諸氏族の系譜と説話、歌謡などを加えて構成される
古事記神話の構造をザックリいうと高天原の2度の地上への介入がその構造の中心となっている。1度目はイザナギとイザナミがオノゴロ島を作り、国生み神生みを行い、次にイザナミのあとを継ぎスサノオが
根之堅洲国で帝王となる。第二の高天原の介入はアマテラスによる九州への天皇の始祖の派遣とそれに続く天皇を擁する日本の話でこれは今も続いている。
これらの2度の高天原の介入に挟まれた形で出雲神話がある。天皇の権威を高めるのに出雲があまり役に立たないのに古事記で大きく取り上げられている。その神話の構造の歪さに我々は心を惹かれる。
たとえば天皇も大国主も大刀(レガリア)の出どころはスサノオでありその権威の根源を知りたくなってしまう。そうなると島根県安来市あたりの観光をしてしまいたくなる。