須佐之男命、天照大御神の左の御づらにまかせる八尺(やさか)の勾玉の五百津のみすまるの珠を乞ひ渡して、ぬなとももゆらに天の真名井に振り漱ぎて、さがにかみて、吹きうつる気吹の狭霧に成れる神の名は
正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命
(まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)
天之菩卑能命
(あめのほひのみこと)
天津日子根命
(あまつひこねのみこと)
活津日子根命
(いくつひこねのみこと)
熊野久須毘命
(くまのくすびのみこと)
合わせて五柱
★前と同じ語句を反復しているのは、語り手が誓約(うけひ)の呪儀の尊厳を聞き手に共鳴させるための方法
★正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命
皇系の祖神
まさか→正しく勝った
あかつ→我は勝った
かちはやひ→敏速に勝った
おしほ→多く豊かに実った稲穂
みみ→尊称
稲穂の豊穣霊を身につけた神
この神の子
★天之菩卑能命
稲穂の新例
★天津日子根命
太陽の子の神
★活津日子根命
いく→生成発展
あまつに対して、いくつ
★熊野久須毘命
くまの→地名
くすび→奇霊(くしび)
※この神の出現は、後の出雲系神話の前提
※島根県八束郡八雲村にある熊野大社の祭神
※出雲大社の前身的な社