■阿闍世王について
【阿闍世王(アジャセ王)
インド・マガダ王国の王
父・ビンサーラは老いて子なきを憂い神に祈ったところ、近々ある仙人が死んでビンサーラ王の子に托生(生まれ変わり)することを告げられたが、ビンサーラ王は待ちきれずその仙人を殺した
間もなくビンサーラ王夫人は懐妊
子が生まれるにあたり占ってもらったところ、「この子は父王に怨みを抱き、父王を殺すだろう」と告げられたので、高い楼上から子を生み落とさせたが、子は一本の指を折ったのみで死ななかった
成長したアジャセ王は提婆達多に示唆され、父を幽閉し餓死させ、母も幽閉した
アジャセ王は罪を悔うようになり激しい頭痛に悩まされていたところ、医者であるジーヴァカ大臣の勧めにより仏教に帰依した】
■内薫外護(ないくんげご)
★内薫
一切衆生に内在する仏性が
自己の内から動き出し
仏性を覆い隠す妄念を払いのけ
身体や言動という目に見える働きとなって現れる
★外護
内薫は
仏性を顕した自分と縁している周囲の人々の仏性を引き出す助けとなって、「自分も自分と縁した人をも守る」という働きが顕れる
♦️人の為に働いた事実は、隠れてはいるが、内薫として自己の生命を豊にして仏性を開き、振舞いや周囲の助けといった徳、外護となって顕れてくる
■御書文章
アジャセ王は仏の御敵
なれども
その内にありし耆婆(ジーヴァカ)大臣・仏に志ありて常に供養あり
しかば其の功、大王に帰すとこそ見えて候へ
仏法の中に内薫外護と申す
大なる大事ありて候
「隠れたる事の
顕れたる徳となり候なり」
されば御内の人は(大臣等)
(アジャセ王が)天魔ついて前より
此の事を知りて
殿(アジャセ王)の此の法門を供養するを支えんがために
今度の(仏が敵という)大妄語をば造り出したりしを
(ジーヴァカ大臣の)御信心深ければ十羅刹たすけ奉らんがために
此の病(アジャセ王の後悔による頭痛)は起これるか
上は我が敵とは思さねども(たとえ仏ん敵とは思っていなかったとしても)
いったん彼らが申す事を
用い給いぬるによりて
(仏は敵だという他者の妄語を、用いることによって)
所労(病気)の大事になりて
長引かせ給うか
彼らが柱とたのむ竜像すでにうたれぬ。和讃(仏を賛嘆する人)せし人も又其の病におかされぬ
良観(社会的弱者を救済した僧侶、日蓮に雨乞い勝負を挑まれたが相手にしなかった)は又一重の大科の者なれば
大事にあうて、大事をひきおこして、いかにもなり候はんずらん
よもただは候はじ