■福田和子が18歳で拘置所に入って間もない昼下がり
刑務官が扉を開けた
扉の前には先日の眼鏡の男と、その子分が立っていた
刑務官を見ると土間の隅でうつむいていた。男たちがぬるりと入ってきた。眼鏡の男が私を倒した。見上げた天井がうねる。真上の眼鏡の男の顔がうねる。顔をひねると男女の律動。。これは夢?
バサッと毛布がかけられ、ハッと身をすくめると、悠然と男はズボンを上げ、太めの女はダラッとした顔で男を見送る。あわててかきあげた下着には体液が流れた
■太めの女は固く口止めをした
刑務官とヤクザがグルなんて、下手に騒ぐと、どんな危険が降りかかるか、、、私は貝になった
【拘置所の未決囚の中には1965年6月M市で起きた暴力団同士の乱射事件で起訴された暴力団員30余人がいた。眼鏡の男はその中の一人
R組筆頭幹部・須藤組組長・須藤(30)】
■新任保安課長が男子房から煙草を発見すると、未決囚に取り囲まれ、新任保安課長補佐は巡視中に6人の未決囚に暴行を受け10日間の傷害。刑務官30余人が出動して未決囚6人を暴行
M刑務所所長が未決囚6人をM地裁に告訴。それを受けて未決囚の弁護人が刑務官を特別公務員暴行陵虐で告発
M地裁が事情聴取の中で、刑務官が賄賂を受けとっていたことや、女囚と性交渉をもっていたこと。
看守部長が暴力団組長を手引きし、未成年の女囚と姦淫させていたことなどが発覚
■当時のM拘置所はヤクザが闊歩し、喫煙、飲食、賭博何でもありだった。福田和子は接見禁止となって孤立したうえ、未決囚に「この中であったことは、見ざる、言わざる、聞かざるじゃけんのぉ」と女子房の壁を叩かれ、全身をふるわせ怯えた
■6月上旬、検察官の取り調べ。大丈夫だと私を促し、須藤に強姦された供述調書を取って帰った
4、5日すると、津川弁護士が刑務官を伴い面会に来た
「ここであったことは、あなたの裁判にマイナスになりますよ。あなたも早くここから出たいでしょう。こな書類に署名、捺印をしなさい」
私は「マイナスになりますよ」の一言で、検察官に騙されていたのかと、あわてて署名、捺印をした
二三日すると、今度は検察官に怒鳴られた。「なんで?」18歳で被告人の身である私は、弁護人を救世主のように思っていた
■接見禁止解除
面会に来た母が
「カー子ちゃん、あんた津川弁護士に騙されたんよ」と言った
私が署名、捺印したのは示談書?
あの弁護士は何の説明もなかったんよ、えっ、須藤の弁護士になったあ?津川弁護士が?
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