■1965年9月17日深夜
男に起こされ車の助手席に乗った
男は大きな屋敷前で車を止め
「待っとれ」と消え
すぐに門が開き、今度は玄関前に私を立たせ、また消えた
玄関のガラス戸が開くと、男が顔を出した。私は男のシャツの背をつかみ暗闇の階段をついて上がった
(これって泥棒?)
振り返った男は凍てついた目をしていた
■『午前3時すぎ、讃岐市G町の讃岐国税局長校舎に侵入。奪ったのは現金一万三千円と、カメラ一台(時価一万五千円相当)。就寝中の国税局長と、階下の女性管理人とその娘を脅し、後ろ手に縛り、猿ぐつわを噛ませて逃亡。1966年3月、伊予市内の質店にカメラを入質したことから発覚』
■1966年3月11日H市駅前旅館
「ええか、逮捕されても絶対にしゃべるな。わしがしゃべったゆうても、騙されるな。わしは絶対しゃべらん!
もし、ばれたら、、お前が誘ったことにしてくれ。頼む!わしには前科があるんよ。今度パクられたら刑務所行きや
お前は初めてやから絶対に出れる。頼む!全部お前が考えたことにしてくれ。頼む!」
呆然としている私の膝に
刑務所には行きたくないと
とりすがって泣く男の背が
いとおしかった
「私が必ず守ってあげる」とゆう変な女心で、男に抱かれた
■3月12日午前中
男は仕事先で逮捕された
男は逮捕されるとすぐ私を主犯格として自供していた。私は男を刑務所に行かせたくないから「絶対しゃべるな」と言った男の言葉を忠実に守っていた
「しぶとい女や
お前ならやりかねん」
と凄まれ、男の供述調書と合わないと、「違うぞぉ、男はこうゆうとるんじゃがあ!」ごつんと拳がとぶ、座っている椅子を蹴飛ばされる、こうして男の供述調書の写しが出来上がった
■福田和子(18)は、主犯格のまま、伊予鑑別所から刑事処分相当と逆送致され起訴
未決囚としてM拘置所に移送
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