「あなたが、事件当日、被害者宅を訪れた時の所持品について聞きます」
「手土産にメロン、メロンの入った袋、ハンドバックとハンドバックを入れてる紙袋です」
「殺害するための道具と思われる果物ナイフ、ガムテープ、ナイロン紐、手袋のようなものは?」
「いいえ、一切持って行っておりません
被告人が予め被害者を殺害する目的で本事件を計画していたなら、殺害するに使用した帯締め、死体を縛るのに使用した紐類は準備して持参したはずである
しかし凶器とされる帯締めが被害者のものであることは、贈与した友人黒田が証明し、死体を縛った紐は定かではないが、死体の口を覆ったガムテープや死体を包んだタオルケット、毛布が被害者のものであることも友人黒田によって証明されている
軍手は夫は被告人が予め用意したと受けとれる供述をしているが、他の道具を全く準備していない被告人が、軍手だけを用意するというのもありえない事柄である
■弁論
本件、犯行当日、被告人は被害者からリンゴやコークハイ等のもてなしを受けた
あなたが、店の共同経営の話を持ちだした、すると、急に被害者の態度が変わって共同経営の話を断った上、ドレッサーの椅子に座ったまま、あなたに背を向けて、アクビをしたり、髪をときはじめ、あなたを無視するような態度になったと、供述があります
■論告
被告人はバカにされたとして、ナイフを持ちださなければならないような事情になるとはとても考えられず、この点からも本件犯行状況に関する供述は信用できない
しかも裁判官から質問されるや、単に被害者が背を向けたというだけでなく、被害者が車代だなどと云い、被告人に財布を放り投げた等と言い、被害者が「私が警察に行ったら、西山も萩原も終わりや」などと言われたと、新たな事実を追加しているが、この点につき被告人は弁護人からの質問に「今は言えません、あとで上申書を提出して明らかにします」などと供述しているが、被害者が財布を放り投げたという事実について、供述を回避して、後に上申書で明らかにしなければならない事実はない
■弁論
被告人は被害者が共同経営を承諾してくれるという強い思い込みをしていただけに、これを断られたショックは大きかった
そして被害者が被告人を無視し軽蔑する態度を示したことで、被害者に激しい憤りを感じ、思わず目の前にあった果物ナイフを取り上げようとして、もみ合いになり、その際、被害者の手がナイフに触れ出血した
あなたは被害者から「人殺しみたいな真似して、警察に言ってやる」と、言われ馬鹿にされたと思い、怒りがこみ上げ、再び被害者に飛びかかって行くと、後ろ向きに押し倒されたと
「押されたんじゃなくて、蹴られたんです」
■弁論
被告人は必死で謝罪したが、被害者はかえって「警察沙汰にする」と言って勝ち誇った態度を示したので、再び怒りがこみ上げ、今度は素手で被害者に飛びかかっていったが、足蹴りにされて倒された
共同経営を絶たれたということは、被害者からあなたが期待していた、店をだすことでの、お金の協力が絶たれ、あなたの心の片隅に、被害者を殺害する土壇場になって、被害者を殺してしまえば、あるいは殺してでも、お金をものにしたいという気持ちも、そこにあったんじゃないかと思うんですがね
「しっかりした記憶の中では殺してまでも、という気持ちはありませんでした。けれど後の方から考えていくと、潜在的にそうゆう風な気持ちがあったと思います」
■私は強盗を認めるまで、七転八倒した。児玉弁護人が面会で「計画性は否定をしているんですが、強盗のところは、あなたが被害者の通帳を従姉妹に引き出しを依頼し、翌日には引き出している。ここがね、僕は引っかかるんですよ。あなたがいくら必要でなく、使っていなかったとしても、逃亡中に引き出したというなら、逃亡資金だと思うんですがね、、あなたの強盗は【未必の故意】にあたると思うのですがね」
「えっ、密室の恋?」
「いや、未必の故意ですよ」
積極的に意図するわけではないが、ある結果が生じるかもしれないと認識し、発生してもかまわないと認めながら行為するときの心理
、、私はお金が欲しかったんだろうか、、
■弁論
被告人が果物ナイフを被害者に突きつけた時点ではまだ、単純に激怒しただけであったが、帯締めを持った時点では、困窮した経済状態を脱出しようという思いが芽生えて、被害者に対する殺意と、金品を強取する意志が同時に発生したことになる
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