電子書籍と作り手の温度

2010-03-15 19:21:32 | 日記
 ここのところ出版界の話題は、何と言っても電子書籍だ。生意気にも弊社も電子書籍に対応していかなければならないと思い、今年から著者にもその旨お話ししている。

 そこでまず、iPhone体験から始めようと、今年初めに乗り換えたのだが、何とも使い勝手が悪い。
 これは多分に私の方に問題があるのだろう。しかも、iPhoneで本を読むとなると非常に目が疲れる。
 iPadが発売されると、どこでどう変わるか分からないけれど、iPhoneを使う限り、文字中心の本の電子書籍化は、まだ当分先のように思えるのだが。

 しかし好奇心だけは旺盛にしておこう。技術はわれわれの意識を超えて、限りなく進化するから。

 でも、根本は人にやさしい本を作りたいと思う。従来の本は、その紙質や厚さ、デザインなどから作り手の温度が少しは読者に伝わっているのではないかと思う。これは決して幻想ではないと思うのだが。電子書籍は、どこまで、作り手の温度を保持してくれるのだろう。
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金森誠也先生来社

2010-03-10 20:13:20 | 日記
 昨日、弊社の事務所に金森誠也先生が来られた。金森先生と言えば、フロイト、ユングや哲学者のショーペンハウアー、経済学者のゾンバルト、それにオカルト関係の翻訳や自著がある。あまりのその守備範囲の広さには驚嘆するばかりだ。

 弊社からもナチス・ドイツの人体実験を裁いた記録であるアレキサンダー・ミッチャ-リッヒの『人間性なき医学』、『戦争論』で知られるクラウゼヴィッツの『ナポレオン戦争従軍記』『国家を憂う』などの翻訳がある。


 80歳とは思えない若々しさで、次の企画について様々な提案をいただき、打ち合わせをした。弊社を訪れると、必ずその後行きつけの渋谷のバーへと足を向けられる。何度かお供をしたことがあるが、義理堅く、2軒、3軒と知り合いのバーを梯子し、得意のカラオケを披露される。ともかく、人気者だ。先生に会うのが楽しみで、先生の来られるのを見計らってやって来る客もあるから驚きだ。若さの秘密は、こんなところにあるのだろう。


人間性なき医学
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クラウゼヴィッツのナポレオン戦争従軍記
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国家を憂う
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戦争論
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成長する神さん、変貌する京都

2010-03-05 17:26:24 | 日記
斎藤英喜先生の『古事記 成長する神々』が出来上がった。
原稿を依頼してから何年がかりだろう。ずいぶん無理なお願いもし、ずいぶん待ったけれども、読みごたえのある本になったと思う。

久々の古代史の編集で、古代史の感覚が戻った頃には校了という事態だったが、編集しながら充分楽しませてもらった。
『日本書紀』とは違って『古事記』では、神さんが大いに活躍する。例えば、荷物担ぎの少年オホナムヂは、数々の試練を経て地上世界を支配する王オホクニヌシとなる。そう、神さんは成長するのです。変貌する神さんを追うことで、読者を『古事記』の魅力へと誘う。

ところで「あとがき」にもあるけれど、京都の先斗町の居酒屋で原稿依頼をしたことが始まりで、それに木屋町では鴨川の床で食事をし、奥さんも同席された。京都に長年住んでいたけれど、鴨川の床は、学生時代以来数十年ぶりだ。

ずいぶん京都も変わった。昔通った喫茶店に寄ろうと思って行ったところ、すでになく、風俗へと変貌していた。壊れていく京都を見るのはつらいものだ。
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