『講座スピリチュアル学 第2巻 スピリチュアリティと医療・健康』が発売になった。
10年前、小冊子『地球人』を発行するに当たって、創刊号の特集を『医療とスピリチュアリティ』にするかどうかについて、上野圭一さんと話し合った。その時の話題は、医療におけるスピリチュアリティの問題を論じるには、まだ早いかなということであった。その5年前の1998年、WHO(国際保健機関)理事会で、健康の定義に「スピリチュアル」(霊性)を入れることが提案された。しかしそれから5年経った2003年の『地球人』の創刊時点でも、医療におけるスピリチュアリティの重要性を評価するのは、ホリスティック医学協会や人体科学会などごく一部の団体と医療関係者だけであった。それが現在、大きく変化してきているように思える。その変化がこの『講座スピリチュアル学』に繋がっているのだ。
医療におけるスピリチュアリティとは人間観の問題である。かいつまんで言えば、心と物質を分けた二元論的人間観の立場に立つか、心と物質は決して二分できるものではないとする人間観の立場に立つかということである。それは個人に還元すれば、生き方の問題である。
湯浅泰雄先生は、「私たちは、知識としての学問とか研究者レベルの問題に目がいきやすいのですが、現代の社会の中で実際に問われているのは、学問以前の人間の生き方の問題だと思うのです。広く現代の人間の生き方に対して方向を示すような研究と実践、そういうことが求められていると思います」 という。 そして鎌田東二さんは第2巻に掲載された帯津良一さんの論考から「注意したいのは、帯津が『ホリスティック医学』が『死後の世界まで視野に入れた(「まるごと」の)医療』を目指していると明確に表明している点である。さらにそれは、『医学の枠に収まりきらない“生き方”の問題』であると指摘している点である。この点がきわめて重要である」と指摘している。つまり、スピリチュアリティとはそれぞれの個人に突きつけられた「生き方」の問題なのである。
いま、地球規模の危機的状況の中で、それぞれ個人の生き方問われているのだ。
第2巻『スピリチュアリティと医療・健康』の目次を以下に記しておく。
はじめに──「講座スピリチュアル学」と「スピリチュアリティと医療・健康」 鎌田東二
序 章 統合医療から見た医療・健康とスピリチュアリティ 山本竜隆
──地域医療と養生医療の現場から
一 はじめに
二 統合医療とは
三 田舎・農村地域における統合医療のかたち
四 統合医療とスピリチュアリティ
五 統合医療と自然
六 最後に
第一部 医療とスピリチュアリティ
からだとスピリチュアリティ──終末期医療と気功実践から 帯津良一
一 はじめに
二 場と階層の原理
三 ホメオパシー
四 医療とは本来ホリスティックなもの
五 養生とは
六 養生のダンディズム
七 最後の晩餐
八 気功
九 おわりに──生と死の統合
代替医療から見たスピリチュアリティ 上野圭一
ビート文学に呼ばれて
AMERIKAのなかのAMERICA
エゴではなくエコを
外辺医療から代替医療へ
ホリスティックヘルスからホリスティック医学へ
『スワノセ・第四世界』
おわりに
アントロポゾフィー医学がとらえたスピリチュアリティ 浦尾弥須子
一 アントロポゾフィー医学とは何か
二 人間とは何か、病気とは?
三 アントロポゾフィーおよびアントロポゾフィー医学の人間観
四 アントロポゾフィー医学の実践
看取りとスピリチュアリティ 大井 玄
はじめに
お迎え現象
目に見えぬ者についての判断
つながりの感覚
主観的判断は自由である
神仏や霊的存在を実感する
記述民族学(ethnography)の見出す事実
見えぬものをイメージする
脳は「世界」を創る
事実は求め方と観測方法により決まる
結び 131
変わる人生・社会・ケア──研究実験国家日本の挑戦 長谷川敏彦
一 変わる病気の意味
二 変わる社会の型
三 変わる人生の過程
四 変わる人生観、死生観
五 変わる病気の型
六 変わるケアそして医療
七 変わる日本そして世界
第二部 こころとたましいの健康にむけて
喪失のもの語りとスピリチュアリティ やまだようこ
一 息することと生きること──スピリットとは
二 こころと身体
三 もの語り(ナラティヴ)とは
四 喪失のもの語り
五 死別と喪の作業──死の受容と回復の段階説
六 「回復もの語り」と「克服もの語り」
七 「死者と共に生きるもの語り」
八 死とスピリチュアリティ
九 喪失のもの語りとスピリチュアルケア
「魂」の心理臨床 黒木賢一
一 はじめに
二 事例からみる「魂の危機」
三 魂の危機の見立て
四 自我と自己の折
五 セラピストとクライエントの気(=情報)の交流
五 おわり
緩和医療と「心の治癒力」 黒丸尊治
一 苦痛症状に寄り添う
二 痛みと心の治癒力
三 代替療法が癒しをもたらすのか?
四 予想に反して長生きする患者さん
五 あきらめたくないという思いを大切にする
六 患者さんの思いに寄り添う
七 死から目をそらすのもスピリチュアルケア
終 章 スピリチュアリティと日本人のいのち観 鎌田東二
はじめに──医学と仏教、あるいは医師と僧侶
一 「いのち」と「むすひ」──『万葉集』と『古事記』を通して生と死の神話知を考える
二 「いのち」と健康──出雲の力といのち
三 「いのち」の目覚め
おわり
10年前、小冊子『地球人』を発行するに当たって、創刊号の特集を『医療とスピリチュアリティ』にするかどうかについて、上野圭一さんと話し合った。その時の話題は、医療におけるスピリチュアリティの問題を論じるには、まだ早いかなということであった。その5年前の1998年、WHO(国際保健機関)理事会で、健康の定義に「スピリチュアル」(霊性)を入れることが提案された。しかしそれから5年経った2003年の『地球人』の創刊時点でも、医療におけるスピリチュアリティの重要性を評価するのは、ホリスティック医学協会や人体科学会などごく一部の団体と医療関係者だけであった。それが現在、大きく変化してきているように思える。その変化がこの『講座スピリチュアル学』に繋がっているのだ。
医療におけるスピリチュアリティとは人間観の問題である。かいつまんで言えば、心と物質を分けた二元論的人間観の立場に立つか、心と物質は決して二分できるものではないとする人間観の立場に立つかということである。それは個人に還元すれば、生き方の問題である。
湯浅泰雄先生は、「私たちは、知識としての学問とか研究者レベルの問題に目がいきやすいのですが、現代の社会の中で実際に問われているのは、学問以前の人間の生き方の問題だと思うのです。広く現代の人間の生き方に対して方向を示すような研究と実践、そういうことが求められていると思います」 という。 そして鎌田東二さんは第2巻に掲載された帯津良一さんの論考から「注意したいのは、帯津が『ホリスティック医学』が『死後の世界まで視野に入れた(「まるごと」の)医療』を目指していると明確に表明している点である。さらにそれは、『医学の枠に収まりきらない“生き方”の問題』であると指摘している点である。この点がきわめて重要である」と指摘している。つまり、スピリチュアリティとはそれぞれの個人に突きつけられた「生き方」の問題なのである。
いま、地球規模の危機的状況の中で、それぞれ個人の生き方問われているのだ。
第2巻『スピリチュアリティと医療・健康』の目次を以下に記しておく。
はじめに──「講座スピリチュアル学」と「スピリチュアリティと医療・健康」 鎌田東二
序 章 統合医療から見た医療・健康とスピリチュアリティ 山本竜隆
──地域医療と養生医療の現場から
一 はじめに
二 統合医療とは
三 田舎・農村地域における統合医療のかたち
四 統合医療とスピリチュアリティ
五 統合医療と自然
六 最後に
第一部 医療とスピリチュアリティ
からだとスピリチュアリティ──終末期医療と気功実践から 帯津良一
一 はじめに
二 場と階層の原理
三 ホメオパシー
四 医療とは本来ホリスティックなもの
五 養生とは
六 養生のダンディズム
七 最後の晩餐
八 気功
九 おわりに──生と死の統合
代替医療から見たスピリチュアリティ 上野圭一
ビート文学に呼ばれて
AMERIKAのなかのAMERICA
エゴではなくエコを
外辺医療から代替医療へ
ホリスティックヘルスからホリスティック医学へ
『スワノセ・第四世界』
おわりに
アントロポゾフィー医学がとらえたスピリチュアリティ 浦尾弥須子
一 アントロポゾフィー医学とは何か
二 人間とは何か、病気とは?
三 アントロポゾフィーおよびアントロポゾフィー医学の人間観
四 アントロポゾフィー医学の実践
看取りとスピリチュアリティ 大井 玄
はじめに
お迎え現象
目に見えぬ者についての判断
つながりの感覚
主観的判断は自由である
神仏や霊的存在を実感する
記述民族学(ethnography)の見出す事実
見えぬものをイメージする
脳は「世界」を創る
事実は求め方と観測方法により決まる
結び 131
変わる人生・社会・ケア──研究実験国家日本の挑戦 長谷川敏彦
一 変わる病気の意味
二 変わる社会の型
三 変わる人生の過程
四 変わる人生観、死生観
五 変わる病気の型
六 変わるケアそして医療
七 変わる日本そして世界
第二部 こころとたましいの健康にむけて
喪失のもの語りとスピリチュアリティ やまだようこ
一 息することと生きること──スピリットとは
二 こころと身体
三 もの語り(ナラティヴ)とは
四 喪失のもの語り
五 死別と喪の作業──死の受容と回復の段階説
六 「回復もの語り」と「克服もの語り」
七 「死者と共に生きるもの語り」
八 死とスピリチュアリティ
九 喪失のもの語りとスピリチュアルケア
「魂」の心理臨床 黒木賢一
一 はじめに
二 事例からみる「魂の危機」
三 魂の危機の見立て
四 自我と自己の折
五 セラピストとクライエントの気(=情報)の交流
五 おわり
緩和医療と「心の治癒力」 黒丸尊治
一 苦痛症状に寄り添う
二 痛みと心の治癒力
三 代替療法が癒しをもたらすのか?
四 予想に反して長生きする患者さん
五 あきらめたくないという思いを大切にする
六 患者さんの思いに寄り添う
七 死から目をそらすのもスピリチュアルケア
終 章 スピリチュアリティと日本人のいのち観 鎌田東二
はじめに──医学と仏教、あるいは医師と僧侶
一 「いのち」と「むすひ」──『万葉集』と『古事記』を通して生と死の神話知を考える
二 「いのち」と健康──出雲の力といのち
三 「いのち」の目覚め
おわり