青の記憶 薬師寺一彦彫刻展

2013-07-26 21:15:55 | 日記
 清水豊さんの『老子と太極拳』の表紙を飾る彫刻家薬師寺一彦さんの個展「青の記憶」が、新宿の伊勢丹で開かれているので見に行ってきた。(30日まで。28日2時からは、トーク&スライドショーがある)
 蓮をテーマにしたシルバーのジュエリーと、水の中を躍動するイルカやクジラや龍をテーマにしたアクリルの作品が展示されている。

 清水豊さんは、個展の表題にもなっている「青の記憶」という作品(『老子と太極拳』の表紙に使用)に天地創造のイメージを見、「天の御中主(みなかぬし)の大神と「むすび」の神々の誕生のイメージと、なにか、ひじょうに合うものを感じるのである。・・・・・・おおいなる「海」の中から、エネルギーが分離しようとしている。それは、あたかも無極という渾沌から、陰陽が分かれて太極が生まれようとする瞬間のようにも感じられる」と言っている。
 上半分が陽、下半分の青の部分が陰、そして陽の部分には、生命の誕生を象徴する青い人魚がまさに生まれ出ようとしているのが見て取れる。

 薬師寺さんは今回の個展について、「私たちが忘れかけていた海から生まれた記憶、聞こえなくなっていた自然の声を蘇らせたいと思っています」と言っている。

 海は生命の故郷(ふるさと)である。水の中に躍動するイルカや人魚は、誕生を待つ羊水の中の胎児でもあろうか。「青の記憶」とは母の胎内の記憶でもあるのだ。実にスピリチュアルな個展である。
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『老子と太極拳』発売

2013-07-02 17:12:27 | 日記
清水豊さんの『老子と太極拳』が出来た。老子の教えと、太極拳の目指すところが同じであること、つまり太極拳を修練することは、『老子』を修練することでもあることを、『老子』の全81章を取り上げ、解説している。

例えば31章では、
「優れた兵士を持つのは、はたして良いことであろうか。
戦いに勝つのは、はたして好ましいことであろうか。
ただ、こだわりなく無為であること。
もし、聖なるものを求めるのであれば、
つつましやかでなくてはならない。」

と老子は、おおいなる道の悟りを得た者は、「兵」にかかわることはなく、どうしても「兵」を用いなければならないときは「恬淡」であれと説いている。
太極拳では、自然な動きではない攻撃動作(剛)は、自然な動き(柔)へと還元されてしまっている。攻撃の動きのように見える太極拳ではあるが、その動きは「兵」そのままではない。あらゆる執着を超えた「恬淡」の境地を知らなければ、奥義にいたることはない。

太極拳と老子の理想とする境地が読者の眼前に開けてくる。
太極拳愛好家だけではなく、武術や老子に少しでも興味があれば、ぜひ読んでいただきたい。

先日、川越の帯津三敬病院におうかがいし、帯津良一先生に本書を贈呈したところ、「ぼくも太極拳の本、出したばかりなんだよ。できたてのホヤホヤ」といって、刊行されたばかりの『太極拳養生法』をいただいた。先生の健康観、生命観、哲学が太極拳と融合したユニークな内容だ。帯津先生は太極拳歴20年を超え、太極拳が好きで好きでたまらないという。
その帯津先生から今日、早速高評の電話をいただき、清水さんの他の本すべてを注文くださった。
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