私たちが抱く感情の中でもパニックは、怒りや悲しみよりも掴みにくいエネルギーです。それだけになかなかに解放しづらく、厚い封印の奥に抑圧されて、ふとしたきっかけで噴き出したときには、自分でもびっくりするような反応となって出てしまうことがあります。今回はこれらをワークする時のポイントについて書いてみます。
パニックのエネルギーが解放しづらい一番の要因は、それを感じてしまうと冷静ではいられず、我を見失ってしまうところにあります。他の感情でもそうなることはありますが、一瞬で意識を吹き飛ばすようなパワーは桁違いです。
私たちは強烈な感情を感じた時、「ここ」に居ることが危険なのだと感じて、意識が心と身体から分離して、体の外に抜けてしまうことがあります。そうなると、フワフワして現実感が薄くなったり、地に足がついていない感覚になったりします。
この状態のままだと、心も行動もすべてがかみ合っていないので、何をしても空回りしてしまいます。
ワークではまず、深く命のエネルギーを呼吸するようなイメージで呼吸をし、パニックで吹き飛んでしまった意識を身体に戻していくところから始めます。呼吸によって、心と身体と魂をつなぎ直すんですね。
パニックになっているとき、頭が真っ白になっていたり、足の感覚が無かったりすることが多いでしょう。何でもいいので、こうした身体の感覚(感覚が無い感覚も含め)に意識をフォーカスさせて、そこを手掛かりに命のエネルギーをその部分に送っていきます。
ちゃんと命のエネルギーが届いていれば、少しずつ身体の感覚が戻って、地に足がついてきます。
しばらくこの呼吸をしていても身体の感覚が戻らない時は、命のエネルギーが届いていない、パニックのエネルギーに触れることができていないというサインです。「自分の身体に戻るのは危険で恐ろしい」と無意識に感じて抵抗しているわけです。
その場合はまず、その恐れを受け止めていく段階を踏みます。
恐れを感じでも大丈夫であり、受け止めていくことは可能であると感じられ、実際にそれができると、パニックのエネルギーにも以前ほど抵抗なく触れられるようになります。
ワークではこうした抵抗への対処がとても大切で、これをしないでいくらゴリ押しで解放しようとしても、先に進むことはできないでしょう。
自分の中に怯える子供のような気持ちのカケラがいるのなら、その子供を邪魔者扱いして閉じ込めるのではなく、寄り添って安心させてあげることが最優先にすべきことです。それこそが、あなたの中で暴れる感情のエネルギーを制御するカギであることを、よくよく心に留めておきましょう。
こんなことくらいで足止めを食らいたくない、早く解放して楽にならなければと、先を急ぐ気持ちはわかります。けれど、もしあなたがこの怯える気持ちのカケラの立場だったら、そんなあなたの態度をどう感じるでしょうか。
自分はいてはいけない存在だと悲しく感じたり、自分を置き去りにして行こうとするあなたを、恨みはしないでしょうか。そしてその気持ちは、幼い頃に親に対して抱いた気持ちだったり、あるいはパートナーなどに対して抱いた気持ちと同じではないでしょうか。
あなたは、誰かにされてとても辛い思いをしたその行為を、自分に対して、してしまっているわけです。この在り方を改めましょう。
一番辛い思いをしているときに、自分が自分の側にいることです。すると、あなたの内なる気持ちのカケラが安心し、あなたを信頼するでしょう。その在り方が、あなたの生きる現実に映しだされるのです。
内なる気持ちのカケラが癒され、自身に統合されると、あれほど手の付けられなかったパニックのエネルギーが落ち着きます。
パニックの感情が噴き出すような出来事には、大抵他の感情も同時に生じているはずですが、パニックのエネルギーがあまりにも強いので、他の感情がかき消されてしまっています。パニックが落ち着くと、今度はそうした他の感情が表れてくるでしょう。今度はそれらを受け止めていくのです。
抑圧された感情は層状になっていて、上から順に受け止めていくと、薄皮を剥がすようにしたから別の感情が表れてきます。これらを丁寧に処理していくことで、セルライトのようにガッチリと絡み合っている感情のエネルギーが、融けていきます。
痛みの感情というのは傷口が膿んでいるようなものなので、表面的にかさぶたができていても、膿が中に残っていればいつまでも痛むのです。けれど、膿をきれいに出してあげれば傷口はちゃんと癒えていきます。もう多少の力で叩かれても、癒えた心は過剰に反応することはありません。
心の奥に、固く硬直したかさぶたができていないでしょうか。そしてそれに触れると、痛むことは無いでしょうか。もし傷んだり違和感があるときは、しっかりと膿を出して手当てをしてあげましょう。
あなたの心が、のびのびと健やかでいられるように。
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