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映画「僕たちは希望のいう名の電車に乗った」を観る

2023年04月06日 | 映画

ロシアによるウクライナ侵略に関連して過去のロシア、ソ連の恐ろしい悪行の歴史が再確認されているが、1956年に起きたハンガリー動乱もその一つだろう。そのハンガリー動乱に影響された東ドイツ側の高校生たちの行動と葛藤を描いた映画「僕たちは希望のいう名の電車に乗った」(2018年、独、ラース・クラウメ監督)を自宅で観た。原語のタイトルを直訳すると「静かなる革命」(THE SILENT REVOLUTION)となる。

戦後、ドイツが東西に分割されソ連と西側諸国で分断統治された時代、まだ、ベルリンの壁ができる1961年より前の1956年、西側の飛び地ベルリンは一時東側により封鎖されていたが、この頃封鎖は解除され東西の行き来は電車でできた。そんなとき、東側の高校生2人が電車でベルリンにある祖父の墓参りに行き、そこでハンガリー動乱のニュースを聞き驚く、ハンガリー民衆が勝利しそうな雰囲気だったからだ。

東側に戻り、学校の教室で生徒たちにその話をし、西側のラジオが聞ける生徒のおじさんの家に集まり情報収集をすると、ソ連が再び侵略を開始してハンガリー側に多くの犠牲者が出たことを知り愕然とする、そして、ある日、教室で授業が開始される前にハンガリー民族の犠牲者を悼んで授業の最初の2分間黙祷を捧げようとなり、それを実行すると、それが反革命分子の行動になるとされ、学校内だけでなく教育大臣まで出てきて大問題になり、首謀者捜しが始まる、首謀者が明らかになれば退学、明らかにならなければクラスは閉鎖され全員卒業できなくなり、エリートコースから外れることが決定する、という事態になる、そして仲間割れの可能性、家族に対する当局の圧力、家族からの説得、その他、ありとあらゆる困難な状況に見舞われ、生徒たちはどう行動しらたよいか悩む・・・・・

これは実話に基づくと、冒頭のテロップに流れる。さもありなんと思わせる展開、どうなってしまうのだろうとハラハラドキドキの連続。自分だったらどう判断して行動するか、考えさせられる映画だ。

ハンガリー動乱後もソ連は1968年のチェコのプラハの春の武力弾圧、ロシアになってからの2008年ジョージア侵略、2014年にクリミア半島侵略、2022年ウクライナ侵略と悪辣さをあらわにしている。こんな時期にこの映画を観て、いろんなことを考えるのは有意義であろう。良い映画だった。

出演

レオナルト・シャイヒャー(テオ)
トム・グラメンツ(クルト)
ヨナス・ダスラー(エリック)
ロナルト・ツェアフェルト(テオの父)
ブルクハルト・クラウスナー(国民教育大臣)