映画「ノートルダム炎の大聖堂」(2021、仏・伊、監督ジャン=ジャック・アノー)をテラスモール松戸のUnited Cinemaで観た。シニア料金1,200円。監督のアノーは「セブンイヤーズ・イン・チベット」などを手がけた79才のベテランだ。
この映画は、2019年4月15日に火災があったノートルダム大聖堂の消火活動に従事した消防隊を中心にみたドキュメンタリーのような映画だ。
出演はサミュエ・ラバルト/ジャン=ポール・ボーデス/ミカエル・チリ二アン
当時この大聖堂は屋根の修繕をしていた、足場が組まれ、多くの資材が運び込まれ、工事が行われていた。観光客が入る聖堂は閉鎖されておらずミサが行われていた。いろんな国から観光客がツアーガイドの案内で見学している姿が描かれる。夕方6時半くらい、工事は終わり、作業員がもう帰ったとき、工事現場の屋根裏から火が上がる、警備室の警報が鳴るが誤作動だ、とされる、そのうちどんどん火が回り煙が外からもわかるくらいになり消防署に一般人から通報が入る、そして火の手が勢いを増し大変なことに、消防隊が現場に行こうとするが夕方の渋滞に阻まれなかなか進めない。そんな状況での消火活動を描く。
観て感じたところを記してみよう
- 工事現場で禁煙となっているのに守られていない、やはり基本がおろそかになると怖い結果になる
- 放水用の水道管がいたるところで漏水して水圧が上がらない、日頃のメンテナンスがいかに大事かわかる
- アラームがなっても以前誤作動があると、またか、というバイアスがかかる、怖いものだ
- 塔の最上階に行くのに300段の螺旋階段があり、それ自体消火活動に大変な負担、しかも途中にドアがあり鍵がかかっている、これが消化の妨げになる、こういう点も怖い
- 火の手が広がると温度が上がりアルミでできたものが溶け出して流水のように流れ、地上にこぼれる、本当に怖い
- この映像は一体どうやって撮影したのだろう、映画の公式サイトの説明などによれば実物大の大規模なセットを作って炎上させながらIMAXカメラで撮影したとなっている。
- 消防隊を含めて犠牲者ゼロというのはすごい、また、文化財のほとんどが運び出されたというのもすごい、日本で同じようなケースが起こったら人命最優先で、文化財も運び出してくれ、という教会の要望は聞き入れられるだろうか
- 火災の前、大聖堂の内部の観光客のツアーの模様を描いているが、いろんな国の観光客が描かれる、最後の方でやっと日本人と日本語ガイドが出てくるとほっとした、アジアでこのような場合に出るのは中国だけになる日も近いか
消火活動に関連した消防士のドラマがあるわけではなく、淡々と消火活動が描かれている。しかし、それがかえって迫力を増している。火災の原因を追求することではなく、どのように大聖堂が救出されたことを見せるのだ、と公式サイトには書いてある。観ている途中から血圧が上がって後頭部が痛くなった。心臓が弱い人はみない方が良いだろう。
ところで、ノートルダム大聖堂は何年か前に行ったことがある。その時の写真を一つ
火事は怖い、基本をおろそかにしない、それを改めて認識したが、観る人にそう思わせれば、この映画は成功だろう。