近くのシネコンで話題の映画「ゴジラー1.0」を観た。2023年、監督・脚本・VFX山崎貴(1964年生まれ)。シニア料金1,300円、平日昼間であったが4,50人は入っていたか、幅広い年令層に見えた。このタイトルは「ゴジラ・マイナス・ワン」と読む。敗戦によりゼロになった日本を怪獣ゴジラが襲い、ゼロ以下のマイナスに追い込む、そういう意味で「マイナス、ワン」となったそうだ。
評判が良いようなので観ようと思った。主なキャストは、主演を神木隆之介、ヒロイン役を浜辺美波、その他山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、 佐々木蔵之介など。
結論から先に言うと、大変面白かった、感動した、よくできた映画だと思った。
ゴジラものはいくつかあるが、今までオリジナルの古いもの(1954年)と「シン・ゴジラ」(2016年、庵野秀明監督)しか観てない。今回は、それらと違う新しいストーリーを展開するというのではなく、基本部分は同じストーリーである。従って、先の2作を上回るシナリオを書くというのは大変な構想力、脚本力が要求されるだろうが監督兼脚本の山崎貴という人はその点でたいした能力の持ち主であろう。今まで彼は、「ALWAYS 三丁目の夕日」、「永遠の0」など数々の話題作を生み出してきたヒットメーカーだそうで、今回もやってくれました。
いくつかコメントを述べてみよう。
- 今回の時代設定は敗戦直後の日本であること、ゴジラ退治が自衛隊もまだ無く米軍の協力も得られず戦場から生き残った海軍将校・戦士たちの有志であったこと、米軍にまだ引き渡されていない戦艦2隻を活用した作戦であったこと、主人公の敷島浩一が元特攻兵の生き残りでそれに悩んでいること、などが絡み合ってストーリーが展開される。無理な設定もあるが許されるだろう。
- 最後のゴジラ撃退の直後と、退治後暫くしてから、「ああ、こういうことだったのか」という、場面が2度あるが、そこが観てる人を感動させる所でもある。ちょっと無理があると感じるが、映画中にちゃんと伏線はひいてあるので、許されるだろう。
- 神木隆之介、浜辺美波のカップルはつい最近終了したばかりの朝ドラ「らんまん」のあのコンビだ。偶然だろうか、朝ドラ終了直後のため、その人物イメージが強く残っており、別の組み合わせの方がよかったのではないかと感じた。
- 新しいものとなると時代を反映してどうしても最新のCG(VFX) などのテクニックを駆使したあまりに現実離れしたものになり、それが見え見えで白けるが、今回はストーリーがおもしろかったので、その点は許せた。
- エンドロールを見てると、撮影協力にいつもゴルフでよくいく笠間市や下館市が含まれ、自衛隊も協力しており、うれしくなった。自衛隊は先日観た「沈黙の艦隊」でも撮影協力しており、本来任務以外の仕事があって大変だ。そしてメディアでは読売新聞が協力しており、あの新聞社ではない、と言うのも分かる気がする。
- 戦争に絡む映画やドラマ、ドキュメンタリーだと、何かと戦時中を悪く描きすぎる傾向があると思っているが、今回の映画ではそのようなことが無かったのは好ましいことだ。映画の中では戦争に関連して、この国は兵士を大事にしないで無駄死にさせた、兵隊がしっかりしていればこんな焼け野原にはならなかった、などのセリフがあったが、その部分はその通りだと思う。
- 主人公が特攻出撃を理由をつけて回避した過去を持つことについて悩むが、その点は監督が手がけた「永遠のゼロ」も少し影響したのではないか、もちろん良い意味で。
十分楽しめた。