(承前)
本書を読んだ感想ついてもう少し書いてみたい。
- 上村教授は籾井会長の発言内容を批判している。その内容は同意するが、その不適切発言の結果、籾井氏のNHKでの意志決定、業務執行に具体的な不適切な事例があったのか言及していない。それが無いと今ひとつ批判に迫力がでない。
- 教授は、会長がNHKの業務執行決定権があり、まるで独裁者であるように書いているが、実際はそんなことはないのではないか。会長が厳しいことを言っても、生え抜きのNHK役職員は面従腹背、3年我慢すれば会長は替わる、と思っているのではないか。現に最近、みずほ銀行出身の前田会長が退任したら、直ぐに前田路線の修正をしている。
- NHKの大きな問題点は会長の資質というよりも、番組内容が不偏不党となっているか国民がチェックすることができない、という仕組みの方だろう。教授の説明では番組内容について法律に定める場合を除き、経営委員は発言できないそうだ。NHKは偏向報道をしているとの指摘は一般の国民からも多くでている。偏向報道があっても事実上、外部の誰も指摘、検証、是正できないとしたら大問題だ。
- もう一つの重要な問題点は拡大主義だ。グループ会社をいくつも持ち、海外取材や有名タレントの起用など、みるからに贅沢に予算を使い、「大きくて潰せない」状況を作り上げているように見える。紅白歌合戦も昔は夜の9時からだったが今は7時過ぎからやっている。民放では使わない無名でも頑張っている人たちを発掘し、積極的に登用したり光を当てるのが公共放送のあるべき姿であり費用も安く済む。お笑いとか、ドラマとか、本当に公共放送がやる必要性があるのか疑問な番組も多くある、そのような部分は民営化すべきではないか。
上村教授のこの本は労作だと思う。いろいろ勉強になった。だが、上村教授にはNHK経営委員などにはなってほしくなかった。
(完)
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