むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 太平洋戦争概説

2019-04-07 15:13:51 | 小説

 主人公は血液型ABで柔道七段の特殊衛生兵M(祖父)。この物語は戯曲風に進行する。まず気になるのはお金。日本国内で流通しているお金のほとんどが借金したお金だ。しかしヨーロッパの国々では、借金したお金の他に仮想通貨を分配している。わかりやすく言うと印刷しただけのお金だけど、これがどうも死んだ人間のお金と同じになるようだ。ヨーロッパは第一次大戦後にベビーブームとなって増えすぎた人口をナチスが暗殺形式で殺害した。そしてそれを記録として公開しないで、仮想通貨を発行するときに、簡素な文章を再現していると考えられる。仮想通貨の原型は、パチンコ屋で景品と交換する前のパチンコ玉やメダルだ。でもこれは台の奪い合いなど古代ゲーム的要素が大きい。現代ではポイントゲームなどで高得点を獲得すると多くもらえる。これは知能の高い幽霊が、幽霊の代表となって高得点に貢献しているとも言えるだろう。さて。戦争の話だから幽霊がたくさん出てくる。古本を一部参考にしながら祖父が書いた米軍宣伝ビラと生命保険会社の人に聞いた話をつなぎ合わせて構成。ではどうぞ。


 昭和七年未明。柔道整復士の研修で、満州のハルピンに行った。呂という名前の中国人で複製人間をつくっているようだ。人間の細胞標本が並んだ部屋で小窓をあけると、烏帽子をかぶった男が女と交わっている。ばかばかしい。からだに金銀を、埋め込む生体実験を見せてもらう。金製の胸骨を埋め込んだ縫合あとが、なまなましい実験台をまのあたりにしたとき、おれは思考を停止させた。実験技師が銀製だと、なん人つくれるかべらべらとしゃべっている。砲弾の起爆実験から金本位制に落とし穴をつくる研究へ発展したそうだ。くだらない。
 あれから七年。華南(中国の河南)にて。日中戦争で多くの日本人が堕落していた。人斬り人形(軍刀で通行人を無差別に斬り殺す日本兵)が重慶を除く中国全域で活動している。狂った旭日マークの旗が占領地でたなびく。人斬り人形が通行人をにらみつけている。あっ。こっちを見た。笑っている。そばに長髪で和装した浪人の亡霊みたいなやつがいて指示していた。コーチだな。
「ヒジカタトシゾウギフケン。マタヒトリキリマシタ」宇宙人のようなラジオ実況が一日じゅう鳴り響いている。大日本帝国戦場速報。道ばたに死体が転がっていた。片づけようとした中国人がぶった斬られる。
「禁断の果実を食え」乃木(日露戦争の将軍)のまごが叫んでいる。
「なにもかもおかねがわるいのでございましょう、ひとがうまれるんはおかねのせい、ひとがしぬんはおかねのせい」死に神様から五時の時報だ。
 毎日マージャンをやっている傷病兵に、医療レセプト(書類づくりなど)を行っている。腰痛だ。人を殺すと羽振りがよくなって治療にこなくなる。ある日えらい人に旅順へ呼ばれた。集合場所はバルチック艦隊撃沈記念館。入り口にカウント(殺したかず)一〇〇ぐらいの人斬り人形が立っていた。阿片の使いすぎで煤けた感じがする。子供が別々に、一〇人以上いる将兵がいた。そいつの子供を育てている中国人女性がなん人かかいま見える。うるさい。えらい人が説明する。その将兵は半ぶん日本人で半ぶん中国人だそうだ。

四七四三の悪魔 死に神のIQは、現在は九九.五ぐらいだけど、これは死に神のIQが一三〇~二六〇ぐらいあった時代よ。死に神が「それはわたしのぜんせいきのはなしで」とかしゃべるけど、ガスやくさった食品にいくらでも入っていて、別にめずしくないわ。


 ドイツが開戦した。軍属が歓喜している。日本軍の囚人パイロット(爆撃の精度が高いパイロット)は、通常は飛行訓練生で人間を爆撃することができない。少しでも当たると正確な爆撃ができなくなるそうだ。囚人パイロットは普通のパイロットと指揮官が違っている。
「ドイツの動きに注目しよう」この声だ。海軍の将校だな。

 つづく