むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 太平洋戦争概説⑪

2019-04-17 14:34:07 | 小説

    サイパンの戦い

 

 一六日目朝。

 宮川に行かせた。

「米囚人パイロット二を見るんだ」

 鉄条網で囲まれた別な司令室に案内される。米軍医三がいた。

米囚人パイロット二 模型銃座を爆撃しろだって。

「模型銃座は、ないよ」

米囚人パイロット いちどに弾薬が、三つのときがあるからな。

 分断面をM二からM三に後退させると海岸までの距離が短い。

米軍将校六 サングラスはちびと同じだ。

 宮川が帰ってきた。

「この協定書は時間が書いてない」

米軍将校六 戦車一〇〇台。新兵一五〇〇人と精鋭部隊五〇〇人。

 曲射砲部隊が小麦粉の袋を大鍋にぶちまいてから、わしづかみにして空中へほうり始めた。五ぶ刈りに十字のそり込みを入れたやつが、両手で小麦粉をすくって外へ走り出す。赤く染めた長髪の男が小麦粉を口に含んで、水を飲んでからげろげろ吐き出している。ひげと髪を胸もとまでのばした男が餅みたいに丸めて、地面に並べた。他の大鍋でも同じようなことをやり始める。

M なにかの儀式だな。

 寝つきがよくなるので、小麦粉をせんべいみたいに焼いて食べるが全部使ったようだ。

長野君 小銃使いの保険が切れました。以後省略します。

M 味方じゃなく敵のパイロットに痛みを連鎖させるんだ。空気は関係ないんだな。

 午前一〇時。タッポーチョの斜面から精鋭部隊が五〇〇人。戦車一〇〇台と新兵一五〇〇人は海岸を進む。

 飛行機がやってきた。

 米囚人パイロット二がM一の目玉を二か所爆撃する。使える目玉はあと二つ。

 残りの目玉から二〇人撃て。

長野君 保険が切れてます。

 また飛行機がきた。

「ライトパープル」退避しろ。三機やってきた。三つ積んである方だ。

「長野君、竹田が改造した木組み台座の、対戦車砲があるだろ」

長野君 三台あります。

「前線側で前に来た戦車を、それで片づけて」

長野君 命中率がよくないですけど。

「米囚人パイロット二の注意がそっちにある。四七㎜機関砲の新型だ」

 芋虫のような袋頭巾が海側に点在している。

M 死亡一八八三名。捕虜三一七名っ。

米軍医 陣地が乱れているようだね。ヒーローが誕生したら囚人兵を次の戦場に送るよ。

 

 一七日目朝。

 西村に行かせた。

「米囚人パイロット二が他にいないか確かめろ」

西村 意味がわからないわ。死体回収が午後一時まで。

「今日はカウボーイだ」

米囚人パイロット おれもそう思う。

米軍将校七 午前一〇時から航空爆撃三時間。そのあと戦車五〇台。新兵一〇〇〇人。

「長野君、木組み台座戦車砲の命中率は」

長野君 通常の命中率に対して大納言が五〇%、和泉式部が三〇%、清少納言が四〇%です。

 木組み台座戦車砲は、外れるときは手前に落ちる。

米囚人パイロット そんなことよりも審判を撃つなよ。

 午後一時。戦車五〇台と新兵一〇〇〇人が中央の岩場に散開している。海岸にトラックがあって、機銃が二〇丁積まれていた。

「機銃なんてどうやって使うんだ」

 米軍将校七が機銃の担当に話しかけている。

西村 あなたは家族のことを考えながら戦ってるわ。幼なじみの女を思い出そうとしている。

 もうすぐ二時だが山側に近づいてこない。

米軍医 設置係一名。

 機銃を四人で、運んでいる。

 山側に一五丁、前線側に五丁。

 米囚人パイロット二が上空で旋回している。

西村 あなたが戦っている姿はすてきだわ。友達も恋人もあなたが死ねばいいと思っている。

 曲射砲部隊が全員で軍刀を研ぎ始めた。金属音が響く。百合子が無表情になってきた。

 竹田が使っていた前線の目玉を二か所爆撃される。次の爆撃まで一八分。

 百合子に白粉(おしろい)と口紅をつけさせた。M三の中央に空爆を回避できる穴がある。パラシュートを地面に広げろ。

 百合子出動。

M 一銭アルミ貨をどうするんだって。

百合子 昭和一八年の方に傷をつけて、飛行機をアルミ製に見立てて。

「米囚人パイロット二の顔を見るんだ」車輪の軸にひっかき傷をつけているやつがみえるか。

西村 あなたの奥さん、ピザの配達人を家に入れてたわ。二人が楽しんでる間に、あなたは戦場でのたれ死ぬ。

「ライトパープル」

「M三に女だ」落とせ。

 M三にひとつ。黒人が本物だな。

紫式部 アたしがたべましたア。

 米囚人パイロット二が爆撃しないで戻っていく。

 あとは問題なしだ。

 機銃を宮川が曲射砲で破壊。

 米軍将校七が両手を上げてこっちへ歩いてくる。

M 死亡八二三名。捕虜二七七名っ。

米軍医 Dデイ(物量作戦)が近い。
 

    つづく