むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所  太平洋戦争概説㉒

2019-04-28 12:42:45 | 小説

    硫黄島の戦い


 七日目。

 摺鉢山の電気設備を管理する技師が二名いて毎日朝からいそがしそうに動きまわっている。

 小銃使いは試合開始まで自分の持ち場付近にいて、フック弾を整備したり、外側の岩盤を並べ替えたりしていた。

 おれと林は集合時間まで特にやることがない。

 装兵がある燃料庫のほぼ真上に、大きい星条旗が突き刺さっている。距離にして一〇m弱。

 なにもしないで昼食を食べるのは気兼ねするから、林と二人で道具を借りて、装兵の真上を大きい星条旗まで掘ることにした。

 RANK(ランク) C(不明なドイツ人の声)

林 ドイツ人がしゃべってます。

M 南雲さん。RANK Cってなに。

南雲 殺したかずが一五人~五〇人のナチス。もちろん普通の人を。

RANK CのSS 紙幣をなん枚束ねてもパン一個の価値もない。農村で金貨を備蓄している。

M SSが遺品を整理していて、金貨がしゃべっている。

南雲 金貨をよくみて。

M しゃべっているのは昨日死んだやつがいじくっている方だ。

南雲 現在の持ち主にこだわらないで、SSがしゃべっているように表記して。

M 林君、カイトってわかるか。

林 きっと死体の検死係でしょう。

M 死体が殺した死体のだな。

南雲 そうだけど簡単にして。

M 装兵の後ろに、西洋風のドアを置いたぞ。殺したやつを装兵の穴に集めれば幽霊がそろう。

林 殺した方は死んだら悪魔になるんですよね。

M 紙に記録して一体ずつそろえる。

林 悪魔の外観は。

M 生前の姿だ。軍服のままでいい。人殺しは死なないんだ。

RANK CのSS 硫黄島の死闘、それは悪魔との対話だった。

悪魔(死んだナチスの総合体) おれたちが口をふさいだから、SSが持っている金貨はしゃべらないぜ。

四七四三の悪魔 しゃべる金貨はその、国の死に神。日本人は魚食いだから貴重な戦利品よ。生魚で幽体離脱してきたら金貨の声を聞かせてやって。

 

 午後三時。前線へ。

M サイパンからの捕虜ポイントをとり戻せたな。

林 もうかってないふりですね。

 スプールアンスは楽しそうだ。めんどうな資料整理はH.スミスがやる。運転手もNO RIGHTで安全だ。

 スプールアンスが機銃で地面を撃つ。

 いいえ。東京都です。

林 東京都の人がしゃべりました。

南雲 マリアより。東京都の人は電話局かなにかで働いている人みたい。

南雲 摺鉢山に着く場面を省略して。RANK Bが二名。

M RANK Bってなに。

南雲 殺したかずが五一人~二〇〇人。

 穴の奥でH.スミスが封筒を二通書いている。

長野君 一三人多いかと。

 片づいた。

 おれと林でノズルのひとりを飛ばす。

M ヨーロッパの風景がみえる。逃げているやつを追いかけながら、ピストルを撃っているようだ。

南雲 RANK B以上はひとりがカバー(殺したかずや地名をあて先に書いた封筒)を持って、五人で死体を運ぶ。シミュレーターの時計を合わせるから。

RANK BのSS 食品店で子供が買い物をすると、おつりの計算で、親の声が聞こえる。しめしめ。

 

    つづく