むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 太平洋戦争概説⑭

2019-04-20 14:18:24 | 小説


 テニアン島は細長い形で縦の中央線に小高い山がある。地図のコピーを持っていたけどおかしな広告タグがついていて、置き場所がないからもうない。

 

 テニアン島の戦い

 

四七四三の悪魔 文章はMの描写。 

 

M あんたがトラック島から来た司令官か。

麻生 話は聞いているよ。AB型で柔道七段の衛生兵だろ。

M 特殊衛生兵だ。よろしくな、大将。

麻生 米国はどうして海水蒸留装置の場所を知っている。

M 昨日囚人パイロット二人で取水口の岩盤を爆撃していた。

麻生 エキシビジョンとりひきをするしか活路がない。

M どうやる。

麻生 どうしてクワゼリンで戦死した二人の将校が陣頭指揮しているんだ。

M あれは幽霊だ。「エキシビジョンとりひきのはずが突撃されて死んだ」と言っている。

小沢(海軍総大将) それ、おれの同級生だ。気にしなくていいぞ。

M 西側の守備隊は全員曲射砲部隊で軍神だ。生きている兵はサイパンからきた六〇人と和歌山少将(和歌山県出身以外は不明)。おれ。あんたと牛丸航空兵だけが戦車を撃てる。

麻生 パイロットのふりをして軍神にまざっていたんだな。基本的には戦力放棄地帯だ。四人ぶん四回と拘束されている邦人の交換要員に二回捕虜のレセプトができればいい。

M 西側は和歌山が軍神を幽霊で指揮して、応戦しながら七日間かけて後退する。

麻生 小銃使い四〇人をこっちの東側に配置しよう。交替制だから昼間は二〇人だ。

M 大将。P、T、I、Cの順に二つ。CPは成績優秀。銃を向けると投降する。

麻生 伝えておくよ。

 米軍のグアム上陸から三日後。

米囚人パイロット VIP(要人)ってどっち側だ。

M 西側だ。いつ上陸してくるんだ。

米囚人パイロット 今日だ。

南雲 グアムは対空砲があるから、そっちの方がいいよ。

 米軍が上陸してきた。

米囚人パイロット二 おれはグアムの担当だ。

M そうじゃない。東側にCP(刑期が軽い)だ。

米囚人パイロット二 伝えておくよ。 

 戦車一〇〇台が上陸してくる。東側に六〇台、西側に四〇台。

 牛丸が「それだと二時間かかる」と言う。

麻生 二〇〇人ぐらいしかいない。

M 捕虜は六〇人以上必要だ。

麻生 方角を時間で表すためだな。

 午前一〇時。東側の戦車が三〇台被弾。西側は障害物を破壊するのに一日かかる。米兵が戦車よりも前へ出てきた。小銃使いが忍びの手口で撃つ。米兵の、顔に近い岩や足もとの岩を撃っている。小銃使いがカウンターバーで棚の物を順番に、なんなのか女給に聞く。最後に女給が「へルメットが違うわ」と言う。

 午前一一時。戦車が全部被弾。グライダーがきて空から撮影している。牛丸が帽子を深くかぶった。小銃使いが戦車の装甲(車輪の鉄板)を撃つ。そばの米兵が投降。芋虫の袋頭巾にする。牛丸が手榴弾を戦車にほうり込む。

M 死亡一八四名。捕虜一三四名っ。

米軍医三 水をお忘れなく。

 曲射砲部隊を和歌山が見張る。曲射砲部隊のリーダーは目をぎらぎらさせて、撤退計画書を見ながら、そろばんで弾薬の計算をしたり、配置に石を置いたりしていた。

 

 二日目朝。

 牛丸が捕虜を連れて司令室のテントにいく。米軍医三がメモ紙を牛丸に渡す。

M 午前九時開始。午後から戦車がCP(刑期が軽い)だとさ。

 戦車の装甲を外して重機で引っ張っていく。被弾した戦車が一〇台残っている。

 牛丸が「今日は二〇台」と言う。

M 大将、聞いたかい。

麻生 ああ。

 牛丸が「戦車二〇台を被弾させたら西側の手伝いに行く」と言う。牛丸がタバコに火をつける。タバコの残りが少ない。

M 明日は大将が行ってタバコくらいもらってきたらどうだ。

 戦車二〇台が海岸に並ぶ。昨日の被弾した戦車に向かって米兵が進む。

 一一時前に片づいた。

南雲 西側の軍神はカウントが五〇平均だね。サイパンよりも普通っぽいよ。

 午後一時。

米囚人パイロット わざと外すから真上にいるとき動くなよ。

 戦車が山の斜面に近づいてくる。砲を斜めに向けて装甲が浮く場所で停止した。

 飛行機がやってきて離れた場所を爆撃する。被弾部ぶんから五〇mは必要だ。斬り込みなら二〇mぐらい。

米囚人パイロット よく見ろよ。

米囚人パイロット二 おれにもやらせろ。

 袋頭巾を盾にして、戦車に上がる。戦車から捕虜を確保。

M 死亡一二四名。捕虜一一三名っ。

米軍医三 日本人捕虜収容所の購買チケットを手配したよ。

M 牛丸はどこだ。

和歌山 戦車を被弾させて、風呂に入って飯を食っている。

麻生 風呂なんてあったのか。

M 牛丸の護衛が先だ。

 曲射砲部隊のリーダーと粉ミルクを飲む。

 リーダーは、人間を斬るときは創傷が死亡原因じゃなくて「軍刀から発する電気ショックで死ぬ」と言った。

「刃先に黄銅を塗布すると電気ショックが増す」と言う。

      つづく