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「東京物語」と「カサブランカ」

2016-05-10 15:17:04 | 日記
「東京物語」と「カサブランカ」。最近、この2作品のデジタルリマスター版を視聴した。

久しぶりに古い友人に再会したら驚嘆させられたという印象に近い。一番驚いたのは「東京物語」の年老いた父親役の笠智衆が老人に見えないことと、逆に「カサブランカ」のハンフリー・ボガードが実年齢よりもかなり老けて見えたことだ。撮影時には笠智衆は五十歳になるかならないかだし、ハンフリー・ボガードは四十一歳くらいだろう。デジタル効果で露わになってしまったのは、笠智衆を老けさせる為のメイクと、ハンフリー・ボガードの皺の多さである。これはデジタル処理をされていない通常版では感じられない要素であり、技術の進歩の影に生まれた意外な落し穴だといえる。無論、総じて映像は綺麗だし、音声も聞き取りやすいので嘆くほどのことではない。そしてストーリーと俳優の演技や監督の演出も最高水準なのだから、やはり文句をつける理由などないのだ。さらに一言付け加えるなら「カサブランカ」のイングリッド・バーグマンの美貌はデジタルでも輝いていたこと。撮影当時のアナログな映像表現において、イングリッド・バーグマンの魅力を最大限に生かそうとした意志を強く感じた。デジタルリマスター版の「カサブランカ」をご覧いただければお分かりになります。
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