急に大叔母がこの世を去った。
洗面所で倒れ、そのまま帰らぬ人となった。
今日は仕事終わりで京都まで通夜へ。
ごく身内だけで行われた通夜。
あっさりとした祭壇には大叔母の遺影。
お経が読まれる中、ずっと遺影を見てた。
大叔母は、いつも明るく、元気な人だった。
常に賑やかな印象。
大きな声、そして独特な喋り方。
私の顔を見るたび、いつも声を掛けてくれた。
寂しい。
単純にそう思った。
そんなことを感じながらずっと遺影を見てた。
会場に響くお経が、やけに遠くに感じた。
でも、なぜだろう。
悲しいはずなのに、なぜか落ち着いている。
いつもなら眠たいだけの通夜のお経が、
こんなにも短く感じたことは初めてだった。
通夜も終わり人が少なくなってから、
改めて椅子に座り遺影を見つめた。
すると、後ろで喋る人らの中から大叔母の声がする。
大叔母の娘だ。
私よりだいぶ年上になるその人は、
私の「はとこ」?…になるのかな?
その娘の声が大叔母に似てる。
声の質、独特な喋り方。
そっくりだ。
まるでその場に大叔母が居るようだ。
背中にその声を聞きながら、遺影を見て少しだけ笑ってしまった。
何となく気分が落ち着いているのはこのせいか?
声はいつでも聞けるんやね。
大叔母の遺影と目が合った気がした。
棺の中の大叔母は薄く化粧が施され、とても綺麗だった。
静かに眠っていた。
さようなら。
おやすみなさい。
声はいつでも聞けるから。