そして、「ただいま、天皇陛下から、上皇陛下の歩みに深く思いを致され、国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、日本国憲法にのっとり、象徴としての責務を果たされるとのお考えと、我が国が一層発展し、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを願われるお気持ちを伺い、深く感銘を受けるとともに、敬愛の念をいま一度新たにいたしました」と述べました。
そのうえで、「私たち国民一同は、天皇陛下を日本国および日本国民統合の象徴と仰ぎ、心を新たに平和で希望に満ちあふれ、誇りある日本の輝かしい未来、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ時代を創り上げていくため、最善の努力を尽くしてまいります」と述べました。
そして最後に、「令和の代(よ)の平安と天皇陛下の弥栄(いやさか)をお祈り申し上げます」と述べました。
このあと、安倍総理大臣は、即位を祝して万歳を三唱し、参列者も唱和しました。
【前回の寿詞との比較】安倍総理大臣が読み上げた「寿詞」では、はじめに天皇陛下の即位に祝意を表したうえで、天皇陛下のおことばを受ける形で「国民の幸せと世界の平和を常に願う」などとした天皇陛下のお考えやお気持ちに深く感銘を受け、敬愛の念を新たにしたとして、国民一同、新しい時代に向けて、最善の努力を尽くすとしています。
前回、平成の代替わりの際、当時の海部総理大臣が読み上げた寿詞と比べますと、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という表現が使われているのが特徴です。
これは、元号が「令和」に決まったことし4月1日に安倍総理大臣が発表した談話でも使われた表現で、「令和」に込められた意味として紹介したものです。
また、前回、「最善の努力を尽くすことをお誓い申し上げます」としていたところは、今回、「最善の努力を尽くしてまいります」と変更されました。
皇位継承式典事務局は「内閣総理大臣の『寿詞』は、国民の代表として述べられるもので、それに適した表現にした」と説明しています。
【内閣総理大臣の寿詞 全文】「即位礼正殿の儀における内閣総理大臣の寿詞」
謹んで申し上げます。
天皇陛下におかれましては、本日ここにめでたく「即位礼正殿の儀」を挙行され、即位を内外に宣明されました。一同こぞって心からお慶び申し上げます。
ただいま、天皇陛下から、上皇陛下の歩みに深く思いを致され、国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、日本国憲法にのっとり、象徴としての責務を果たされるとのお考えと、我が国が一層発展し、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを願われるお気持ちを伺い、深く感銘を受けるとともに、敬愛の念を今一度新たにいたしました。
私たち国民一同は、天皇陛下を日本国及び日本国民統合の象徴と仰ぎ、心を新たに、平和で、希望に満ちあふれ、誇りある日本の輝かしい未来、人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ時代を創り上げていくため、最善の努力を尽くしてまいります。
ここに、令和の代の平安と天皇陛下の弥栄をお祈り申し上げ、お祝いの言葉といたします。
令和元年十月二十二日 内閣総理大臣 安倍晋三