すべてに絶望したあの日
音も
光も
風さえも
失ってしまった
わたしを取り巻く世界には誰もいなくなり
何もかもが失われた世界に
ただ
わたしは立っていた
わたしの体は力をなくし
動くことすら諦めて
ただ
ただ海底に沈んでいく
わたしの涙の一滴なんて
大海に流れてしまえば何の形もなくなる
それでも
感情を失った涙は
とめどなく流れ
生ぬるい海水とともに
波とともに
どこかへ消えていった
浮上
浮上できる日は来るのだろうか
深い深い
そして
暗い暗い海底から
はるかかなたの光を帯びた海面をぼんやりと見つめている
ずっと
見つづけている
体はただ
ゆらゆらと穏やかな波に揺られているだけ
誰もいない
何もない
居心地は悪くない
それでも
瞳だけが
海面越しにほのかに光る月の光を見据えている
わたしに
浮上できる日は来るのだろうか