Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

キャビネット再設定

2018-08-16 18:10:29 | AMPLIFIERS

イタリアのDV MARKのヘッドアンプDV MICRO 50 CMTを早速バンドのリハで使用してみましたが想像以上のパフォーマンスには驚きです。50Wですが余裕のヘッドルーム。耐入力150Wのエミネンス・トンカーとのコンビネーションは低音弦が割れずにクリアに出力されるので後面開放ですが密閉に近い質感のローエンドを味わえます。クリーンは伝統のフェンダークリーンからマスターボリューム無しのマーシャルクリーンまでカバー。2チャンネルアンプですがイメージはクリーンチャンネルの前段にオーバードライブチャンネルがある感じ。ドライブチャンネルで軽くクリップさせても両チャンネルのトーンが作動するのでパワーチューブの飽和状態にもコントロールが可能。当時のスタイルを追いかけたビンテージリイッシュのアンプではどうしてもハズしてしまうところが難なく出てしまう優れもの。このアンプはプレキシをイメージしているだけあってクランチが絶品。プリ部に使用している6205マイクロチューブが整流管のようなアタックを出すのでダイナミクスが真空管アンプの質感です。たまたま目の前にあったチューブアンプがアタリでうれしくなる感じですね。

リハやライブでも使用できるようにキャビネットとアンプヘッドのスピーカーケーブルは太いLAVAケーブルを使うためキャビネット側にしっかりしたジャックを増設。アルミのプレートを介してスイッチクラフトのミルスペックジャックでケーブルをジョイント。キャビネットの内部配線もLAVAのスピーカーケーブルを使います。気持ちの問題ですがキャビネットとヘッドの間にウレタンフォームをスペーサー代わりにして無駄な共鳴を防ぎます。

後面開放キャビに12インチスピーカーを基本にして様々なキャビネットで試せるのがコンボアンプと違う嗜みが出来ますね。


Marshall1922とDV MARK

2018-08-13 21:57:18 | AMPLIFIERS

1年以上放置状態のマーシャルスピーカーキャビネット1922を完成させました。約20年前の個体なのでクリーニングとサランネットの張替、バッフル板の塗装等を施したのが昨年のお話。なんとなくサランネットの張りが緩かったので再度の張り直し。スピーカージャックプレートも劣化で固定ネジ部分が割れていたので2mm厚のアルミプレートでDIY。薄くヘアーラインを入れて軽く研磨したマッド仕上げ。ステレオ使用をしないのでインプットはシンプルに1個だけ。固定ネジを8個に増やし密閉度を高めました。内部配線もLAVAのTEPHRAですが何せこの物量ケーブルなので通常使用では問題は無いのですが移動時の振動でケーブルがグラつきターミナルソケットの破損や外れるのを想定してのケーブル固定。

最近、小型ヘッドアンプのDV MARKを使い出したので様々なキャビネットを使いたくなります。元々あったマーシャル2061Xヘッド用の小型キャビをイメージしていたのですがDV MARKに使ってみると抜群のマッチング。12×1のフェンダーキャビネットよりゲイン、ザラツキ感などが増量。繊細では無いですがヘッドルームが大きくなったような余裕とロックな感じの出音。セレッションの大味な雑味が密閉キャビネットでまとめられいいバランスになるのです。これが同じG12T-75を搭載してかつ一回り大きい容量の1936だとよりラウドな低音を再現できます。  

1922は12インチ×2のキャビネットでは最小のクラスですがジャンルを選ばない用途に使えます。チューブ交換のような微妙なチューンナップとは違いキャビネットを変更すると露骨に質感が変わるので悪いほうに進む場合も。スピーカーユニットの変更よりもキャビネット容量やユニットの数がトーンに与える影響は凄まじいですね。

DV MARKのようなギターアンプヘッドが増えるとキャビネット選びの楽しみ方も増えてきます。ギタリストはツインリバーブの12×2、マーシャルの12×4、小型ハイエンドの12×1位しか知らないわけでスピーカーキャビネット自体のトーンにはあまり関心がありません。パターン化したアンプとスピーカーのコンビネーションだけでトーンを語っていたのが一般的です。しかし、エレクトリックアンプの基本系のフェンダーをひも解くとプリ部のチューブレイアウトは同じでパワー部とキャビネットの大きさ、搭載スピーカーのサイズや数で様々なモデルのデザインをしていたことから肝はキャビの容量とスピーカーユニットということが始まりでした。エフェクトペダルの進化と共にギターアンプはPA的な出力装置となっていき大型かコンパクトかというスタイリングになり個性やトーンは排除されていった90年代の反動からハイエンド小型チューブアンプブームの到来が始まりました。それらはチューブ本来のサーチュレーションを求め過ぎて小出力になり過ぎ、実際のバンドサウンドでは非力で実践的でないものも多く難しい選択に。汎用性の高い40~60Wの出力モデルがチューブアンプでは意外と少なくそこのレンジは全てトランジスタアンプのオンパレードが現実になってしまっています。どうしてもリアルチューブアンプに求めるビンテージ信仰からチャンプ、デラックスあたりとツインリバーブ、巨大マーシャルのスタイルを追ってしまわないとセールスに結びつかないというのもわからないわけではないですが。

このスモールヘッドアンプはほとんど同じ形状で50~150WまでのバリエーションがありキャビネットをTPOに合わせて使用すればバンド、会場、ジャンル、移動手段によって使い分けが可能。90年代のようなちょっとインチキなトランジスタアンプとは違いリアルにチューブクランチを再現出来るところが驚きます。昔は高価だった海外スピーカーユニットも今はほとんどがアジア生産に切り替わり乗せ換えも躊躇なく出来るのがいい時代になったような気がしますね。

いろいろ言ってもこのスタイルが集まると3段積にしてしまうのがオジサンの典型。

 


DV MARK DV MICRO 50 CMT Ciro Manna Signature

2018-07-02 21:47:38 | AMPLIFIERS

ここ数年使用していたトランジスタアンプの1985年製のフェンダージャパンサイドキック65が逝ってしまいました。最近、リバーブにノイズが乗ったり電源スイッチ作動時のノイズが気になってはいましたがドン!というと音と共に反応無しに。経年劣化で基板不良といったところです。原因究明の修理もいいですが今までお疲れ様ということで引退になった次第です。

しかし、現在は手軽で軽量で大きい出力のトランジスタアンプがありません。ランチボックス等の飛び道具的なのは別として普通のコンボサイズのトランジスタアンプです。ギターアンプでのメインストリームというと真空管アンプですが高品質をうたいすぎたブティックアンプはナチュラルな真空管本来の歪を求めすぎて低出力化になりホールライブでは音量が足りません。音量を求めると重量が増し油断するとツインリバーブ並みになってしまいます。60W前後の出力で15kgMAXのコンボアンプは昔のモノを選択しないといけなくなりそれは現実問題故障との闘い。ペダルの世界的国産メーカーが真空管に頼らないビンテージライクなトランジスタアンプを数々出していますが楽器店に展示していないという状況。メーカー的にもやる気が無いらしくデモ機もありません。有名ギタリストの専用シグネーチャーパーツも大々的に宣伝していますがそのギタリストがライブでは使用していないということから契約上だけの話。実用的で手軽なトランジスタコンボアンプは市場に必要とされていないことが浮き彫りです。

そんな中、今まで気にもしていなかったスイッチング電源のコンパクトギターヘッドアンプが密かに熱くなっています。この分野はかなり前からベースアンプの世界では一つのジャンル化されていました。ギタリストは50年以上前にデビューした真空管アンプのスタイルを大事に支持してきました。ある意味、新しい技術を否定するというのがギタリストなので真空管と重いトランスへのこだわりを捨てられなかったことが新しいアンプの開発を送らせてしまったことにつながりました。本家メーカーも新しいトライをしていますがことごとくよろしくないコンセプトとデザインに笑うしかありません。

 

さて、このイタリアからのDV MARKというメーカーはベースアンプ界では超有名なMARK BASSのギター部門。ハイゲインからJAZZまでカバーする商品群は全てのジャンルのギタリストを網羅する勢い。50Wという実用的な出力とプレキシを彷彿するパネルデザイン。プリに6205という小型真空管が仕込んでありビンテージ支持にもしっかりアピール。イタリアのハイテクギタリスト「Ciro Manna」のシグネーチャーモデルとして出されたのがDV MICRO 50 CMT 。重量1.9kgとギグバックのポケットに入る大きさは体に優しい。JAZZギタリストからの支持が強いコンボアンプが多数あることからベースアンプからのフラットでPAアンプ的なトーンを想像していましたがそれは全くの逆。クリーンチャンネルとオーバードライブチャンネルは使い分けが可能でオーバードライブはまさにエキゾティックのSL DRIVEに通じるシャープなプレキシトーン。歪最小でバイト感満載のチューブクランチとギターヴォリュームに対してのレスポンスは最高です。クリーンはトレブルのコントロールでブラックフェイスフェンダーから80年代ブギーの質感も自由。スタンダードチューブアンプの愛好者も納得のハズレ無しのコントロールが再現できます。50Wでもかなり広いヘッドルームを体感出来てペダルの再現力も素晴らしい。スプリングリバーブをしっかりモディファイしたデジタルリバーブも優れもの。鳴らすキャビネットでもまた別物に変貌する雰囲気もあります。

引退したサイドキック65もヘッドアンプ部分やリバーブタンクも取り払いスピーカーキャビネットとして生まれ変わりました。アンプノブ部分と後面上部を新たにトーレックスを貼ったパネルで塞ぎ容量が増したキャビネットで載せるのは定番のエミネンス・トンカー。スピーカーケーブルはゲインの大きいLAVA CABLEのTEPHRA。コンボアンプよりひと手間かかりますが弾いててニヤリとしてしまうアンプに久々出会いました。

メーカーサイトを見るとかなりのラインナップがありますが日本国内の正規ディーラーの扱いアイテムは少しだけ。受注オーダーモノも多く注文しても入荷半年待ち。これだけ動画サイトに試奏が上がっているのでそこからトーンや使い勝手を想像するしかないのですが新しい機材の検討はその想像力が無いと話になりません。手に取っての品定めは過去の話で実際にマニアックな機材は直輸入品を通販で購入というパターンが一般的になってしまいました。入手したけどイメージと違う場合は別に売ってしまうというスタイルは商品の流通を活性化させているのかもしれません。

さてこのDV MARKは試してみたいハイゲインアンプやチューブプリ入り1チャンネル250Wアンプ、センスのいいキャビネット等匂いのするもの多数。ジャンルをかかわらず新進気鋭のギタリストがモニターしているところが面白いですね。今更3大ギタリストといっても通じませんので。今後注目していきたい株ナンバー1のアンプメーカー。


Marshall 1922

2017-05-05 17:00:37 | AMPLIFIERS

1998年製のマーシャル1922キャビネットを入手しました。選択範囲として12インチ1発の1912やレギュラースタックのハーフサイズ1936とありますが12×2で軽量と2061Xのヘッドとのバランスを考えると1922ということに。ギリギリ12インチが2発横に並べられる大きさですが中途半端な雰囲気もそれなりの味わいがあります。

いつものことながら古いアンプはまずパーツをすべて外してクリーニングから始まります。トーレックスを洗剤と歯ブラシで根気よく洗浄すると約20年のヤニやホコリが湧き出てきます。サランネットもヨレヨレだったのでビンテージタイプのソルトペッパーに交換し、MDFのバッフルボードはブラックに塗り直します。前面のパイピングはオリジナルがゴールドでしたがこのネットならやはりラージサイズのホワイトが定番でしょう。

さてスピーカーは伝統のセレッションG12T-75。癖が無くフラットでローエンドやハイも使いやすくコントロールされています。ビンテージなロックを求めるならグリーンバックといきたいところですが、フェンダー系のクリーンからクランチ、ディストーションと使い分けるならこG12T-75が一番使いやすいですね。ある意味様々なTPOに合わせるキャビネットにはこのようなオールラウンドなスピーカーが求められます。軽いクランチでハイも適当にカットされた太いミッドレンジが出ているのがスピーカーの理想のトーンですがドライブペダルと合わせるとミッドがしつこくなるので適度にドンシャリなのがベストです。マーシャル&セレッションの動画はハイゲインな歪がほとんど。サイトのインプレも個人的意見なので使用楽器やエフェクター等不明ですからつけてみないとわかりません。

2061Xに純正なG12H-30はよりレンジを広くしてブティックアンプ等で純正に使用されるようなハイファイサウンドですがシングルコイルにはトレブルのザラツキが目立ちます。ハムバッカーのディストーションには程よいのですがある意味使用範囲が限定される感があります。ダークなフェンダーのツイードアンプ等にはよりクリアなアルニコブルーは素晴らしいですがブラックフェイスには今一つだったりで悩ましいところ。しかし、万人向けでどんなアンプ、キャビにもある程度マッチングするスタンダードスピーカーがこのセレッションG12T-75かもしれませんね。細かなザラツキやエレキギターのニュアンスの再現力はかなり高いです。現行ジャンセンのようにビンテージを作り過ぎているトーンやモダンなエミネンスとは違いギターのチープで大味なところを素直に再生するのがセレッションです。

現行のセレッションのほとんどが中国生産ですがこの個体は90年代中盤の英国製の雰囲気。詳しくは解りませんが一般的にはピークを過ぎた時期のメーカー製より巨大資本に吸収された後の製造のほうがモノが良かったりすることも多いです。価格も安くなり製品の安定性もあるとくれば一石二鳥です。伝統のある製品は時代とともに様々な国でリファインされて成熟していくのですね。そう考えるとメイドインジャパンとして何倍もの高額な価格設定がまさに時代遅れです。特にLMに関しては。今はアジアン&東欧が楽器製造を支えているかもしれません。


YouTubeとMarshall

2017-04-03 20:02:39 | AMPLIFIERS

最近稼働が無かったマーシャル2061Xをスタジオ現場で使えるようにチューニングを企てます。ヘッド重量は10kgとさほどストレスは感じませんがスピーカーキャビネットは24kgと毎回の移動にはしんどいレベル。ツインリバーブより軽量ですがこの大きさです。12インチ1発のフェンダーサイドキックのエミネンス・トンカーでマーシャルを鳴らすとこれまた格別。後面開放なのでブルースブレーカー的なトーンもいいですが音量のピークがすぐきてしまう感じもあります。そうなると12×2の小型のキャビネットが理想ですが重量アップとあまり種類もありません。マーシャルの1922がスペック的にいいですがそれも19kgもあるので微妙なところです。プリ部で多様なトーンをコントロールするフェンダーアンプと違いアンプの音は一つ!いじれるのは音量だけ!微調整はスピーカーキャビでやってくれというような男らしいアンプにロックを感じるのもわかります。ヘッドルームを小さくしてその歪をキャビで増幅させる手法は体に堪えるのです。

そんな中、YouTubeで参考動画を物色しましたがマーシャルのメーカーサイトの動画の音の悪さに驚きです。ブティック系アンプのメーカー動画は素晴らしいのにどうしたんでしょうマーシャル!ラウドなディストーションばかりのイメージ作りが残念でなりません。100Wの1959を直でフルアップの歪を求めるようなナンセンスな作法がいまだに君臨していて「アンプ直でフルアップ」というビンテージ信仰に迷っている老舗マーシャルが垣間見れます。現在のキメの細かいディストーションをモディファイした現行品マーシャルのほうがそれらしいトーンを放出しますが当時の製法を再現したハンドワイヤードシリーズは多少アレンジしないとおいしいところにもっていけないところがあります。マーシャルはフェンダーアンプ程の解像度は無くラウドですが大味なトーンとコンプレッションが売りなのでハンドワイヤードシリーズの低出力アンプは美しいクランチをどう出すかに限るようです。

あくまで音を遠くに飛ばす密閉キャビネットは奥行きのあるミッドレンジを犠牲にする場合があるので難しいところです。2061Xのようなプリ固定のシンプルなパワーアンプはキャビネットでのトーンコントロールが重要です。オリジナルの2061CXキャビの後面を少し開けてセミ開放にするとドンシャリ感が消えてみずみずしいミッドレンジに変化しますがローエンドが物足りなくなります。スピーカーユニットのキャラクターもありますが、セレッションはつやのあるクリーンは期待できません。マーシャル1922くらいのキャビをセミオープンバックしてみるのもよさそうです。キャビの容量、ユニットの数、クローズドかオープンかと深みにハマるのがキャビのセレクトですね。