Guitars On Broadway

洋楽とエレクトリックギターの旅路

Super Reverb & Pro Reverb

2016-10-11 18:04:52 | AMPLIFIERS

丁度いいクランチサウンドが作れるフェンダーアンプとなると40Wクラスがお手頃です。しかし、音量はスタジオでバランスを取るのが厄介なくらいあるのがこの60年代中盤のブラックフェイスのフェンダー。最近はトランジスタのフェンダージャパンサイドキックがメインに躍り出ているため、なかなか活躍する場がない状況ですが定期的には火入れをしなくてはいけません。同じ40Wでもこれだけキャラクターが違うとレオフェンダーの求めるところのトーンというよりセールス側からの意見をドンドン製品開発に取り入れていったのが伺えます。トーンよりもあらゆるユーザーを取り込む商魂のたくましさがこのような膨大なアイテムとなっていったのでしょう。

さて、10×4のスーパーリバーブはツイード期のスーパーよりツイードベースマンの改良版の質感が見受けられ豊富なミッドレンジと低音がステージアンプとしてブルースマンに好まれた経緯があります。ストラトやテレキャスターは勿論ですがハムバッカー搭載のギブソンのオーバードライブに一役買っている感じが強いですね。ドライブペダルの融け具合も違和感がありません。ヘッドルームをノンPAでもつぶれ過ぎないところにチューニングして大きいキャビネットで複数ユニットを鳴らすベースアンプの原型も見ることが出来ます。

これと同じヘッドルームですが一回り大きいユニットの12×2をタイトにしたキャビネットに押し込んだプロリバーブはどちらかというとミドルを穏やかにしたフラット特性。強烈なオプションのJBL-D120Fがより当時純正だったオックスフォードやユタよりメローな質感ですがフェンダートーンには変わりありません。ツインリバーブのトレブルを落ち着かせ、整流管のミッドにコンプレッションを加えた一番仕事に使えるオールラウンドなアンプですがインパクトが足りない分人気が今一つ。デラックスリバーブ程コンパクトでは無いのと、この個体はJBLのおかげでツインリバーブと同じ重量にまでかさ上げしたものですからより運搬が困難。しかし、音は一番シックリくるフェンダーアンプがこのプロリバーブです。今活躍しているサイドキック65のチューニングはこのプロリバーブが基本になっています。いわゆるトランジスタのダミーアンプですがJBL・12×2のローミッドの音圧にはかないませんね。

こうして当時のブラックフェイスを弾くとゴチャゴチャいじらないでそのまま弾けと言われているようで、いかにスッピンのシングルコイルを上手に鳴らし切るかを再確認できます。


EMINENCE THE TONKER & LAVA CABLE THE TEPHRA

2016-09-25 00:23:42 | AMPLIFIERS

今年に入ってメインで使用している1985年製フェンダージャパンのトランジスタアンプ、サイドキック65。ペダルボードで大体のトーンチューニングは出来ているのですがクリーンのトランジスタ臭が気になります。そこで、スピーカーユニットとスピーカーケーブルでの変更を試みます。ユニットは以前からチェックしていたエミネンス社のレッドコートシリーズのThe Tonker。某有名ギタリストのモデルとして開発していたとか聞きますが太いクリーン・クランチでは定番のモデルのようです。しかし、このエミネンスは膨大なアイテムがあってサイトのトーンガイドでもかなり悩みます。レッドコートシリーズはブリティッシュがイメージのようで多少曇った質感のセレッションをイメージ。旧モデルはJBL・D120Fを意識したような真っ赤にペイントされたフレームでしたが現行は地味なルックス。これも大人っぽくていいですけどね。

この「The Tonker」は80年代のシルバーパネルフェンダーを意識したトレブリーなトーンを湿った太いドライブサウンドに変化させてくれます。トレブルが多少カットされローミッドが前に出ていてクランチに独特なコンプレッションがかかったようなブルースロックには理想的なトーン。余裕の150W出力がローのアタックも潰れず2発のキャビネットと錯覚するほどレスポンスがいい。オリジナルスピーカーもエミネンスのようですがユニット重量が軽量で70年代フェンダーのハイにシフトしたトーン。このThe Tonkerはユニットやコーンの作り、マグネットの大きさといい重厚な質感の5kgオーバーの重量。これで運搬が楽なトランジスタアンプもヘビーになりました。Tonkerの半分以上軽量なネオジウムマグネットを使用したTONKERLITE というモデルもありますが先ずはオリジナルを嗜みたいところ。フェンダーアンプ定番の高音部分がカットされているトーンですがペダルボード使用しても濃厚なミッドレンジが太くシングルノートでも噛み付きは良好。セレッション系のオーバードライブとクリーンのザラ付きがあってそのジャンル限定品のようですがハイゲインの歪みも申し分ありません。ローエンドが薄目なトランジスタ臭さは消えてツイード風なチューブアンプサウンドに化けてしまいました。

内部のパーツ交換や真空管、ケーブル交換のようなニュアンスの違いを体感するチューンも渋いですが、スピーカーユニット交換ほどインパクトの変わるものも他にありません。ユニットのチョイスを誤れば駄目なアンプにもなってしまうので動画サイトでジックリ検証が必要です。スピーカーケーブルはベルデンの予定でしたが入手してからそのままになっていたLAVAケーブルのThe Tephraです。

このケーブルはあまり情報が無いのでやってみなければわかりません。しかし、太さが1mm近いのでプラグもスイッチクラフトの#70Bでないと入りません。このThe Tephraは18AWGを4本、合計8本でギターアンプのスピーカーケーブルとしては常識外れの規格ですがこれがなかなかいいです。定番のベルデン8497や8470は純正ケーブルの細く高音の出ないゲインの低いケーブルのトーンをはっきりとさせる目的がありました。このThe Tephraはローミッドの量感が多く重心が低い感じになります。派手さはないですがゲインも高くスピーカーユニットととのバランスは最高です。形状からビルトインアンプではなくスタックで使用するように作られた感じなので直接スピーカー端子に接続するには多少加工が必要になりますが。これは今まで試したスピーカーケーブルで一番のパワーを感じます。量感というかゲインが豊富の割にはフラットで変な味付けが全くありません。トレブルの強いビンテージフェンダーリイシュなんかにはバランスをとるのにいいかもしれませんがマーシャルにも良さそう。

それにしてもエミネンス!コストパフォーマンスが高く最高です。スピーカーユニット交換は今まで破損したときにしか交換しないですからね。

 


Fender Japan Sidekick 50&65

2016-02-26 17:45:00 | AMPLIFIERS

80年代から90年代を掘り下げるアンプ旅行のソリッドステート編。この年代はオリジナリティの追及ではなくチューブアンプの成熟期の名機をトランジスタで再生してみようという時期です。JCのようにオリジナルを押し通すモデルは少なくフェンダー、マーシャル、ブギー等当時の人気メーカーのスリッドステート化はこの時期日本のメーカーの重要な立ち位置だったのです。そんな中、本家フェンダーはソリッドステートの設計、生産を日本に委託し開始します。自宅にシルバーネットのフェンダーロゴが一般的になったのはエルク製のこのサイドキックシリーズからだったでしょう。しかし、本家フェンダーがチューブで往年のヴィンテージモデルを復刻させたのは80年代中盤。トランジスタモデルは10W前後のチャンプライクに集中しこの50W以上の実践向けモデルは一瞬にして姿を消すことになります。

さてこのサイドキック50は80年代前半にリリースされ80年代中盤に後続機として65に代わります。その後、台湾に製造が移り再度モデルチェンジしていきます。50はエミネンス製の12インチスピーカーを搭載、USAアキュトロニクス製リバーブタンクを持ちツインリバーブのクリーンとマーシャルのディストーションをツインの半分の重量で再現するという何とも豪華なスペック。トランジスタ特有の早い立ち上がりとペダルを十分に受け入れるヘッドルームをもっていてトーンコントロールの幅もある。現行でこの感じのアンプを探してもなかなか出てきません。テーマがコストダウンではなく往年のフェンダーチューブアンプをトランジスタで再現するところがポイントかもしれません。キャラクターの違う2ボリューム・2チャンネル仕様でアンプでクリーン、クランチからディストーションまでカバー出来るオールラウンド型。85年頃になって65にバトンタッチをします。若干形状の違うキャビネットに新しくレイアウトされたコントローラーで50に比べると乾いた印象に変化します。残念なのがリバーブがアキュトロニクスからオリジナルリバーブに変わり電子式のチャンネルスイッチングにアレンジ。リバーブの響きが軽く浅くなり深くかけると原音がボケる感じに。紛失を防ぐことが出来ますが電子式のスイッチがアンプから直接出ているのでケーブルをいつもキャビネット内に収納していなくてはなりません。両モデルともスピーカーケーブルのジャックを増設しベルデンに。

現在は当時無かった上質なクランチを再現できるペダルがたくさんあるのでまたこのトランジスタアンプの用途の幅も広がります。昔はフルチューブでリイッシュしていてスペックは名機と同じでもトーンが違っていて結局手放したモデルがたくさんありました。トランジスタでもチューブサウンドがちゃんと出ていいたのが30年以上前のアンプというのも考えてしまう今日この頃です。


Ampeg ポーターフレックス

2016-02-12 18:16:22 | AMPLIFIERS

伝説のベースアンプ、1964年製アンペグB-15/12NCポーターフレックスの大変レアな12インチスピーカーバージョン。当時の売れっ子ベーシストがこぞって使い、モータウンからロックまであの時代に数々の名盤を生み出したレコーディングアンプです。スピーカー上部にヘッドアンプが一体化していて移動時には裏返ししてキャビネットにアンプを収納するという斬新なデザイン。個性的なトランス配置はスピーカーマグネットをうまくかわすように作られています。出力25~30Wというお部屋用でも見かけない低出力ですが100W以上の音圧があり小型重低音ベースアンプの始まりのようなのがこのアンペグB-15/12NC。デビューは1960年からでこのブルートーレックスは1966までの仕様。次第に大型化されていきましたがこのセパレートコンボアンプは巨大なロックベースアンプの定番SVTシリーズとともにアンペグの代名詞になっています。ヘッドアンプは皆同じでキャビネットやスピーカーの大きさで音量を変える超アナログ的なバリエーション。スピーカーアウトがあるので使用する場所によってキャビネットを変えることを想定しています。また、15インチ用のキャビネットに12インチが入っているバージョンも存在していてアイテム数は膨大。スピーカーケーブルは何故か4芯のキャノンジャック。

当時のカタログからは使う楽器やジャンルで推奨モデルというのが紹介されています。現在ではすべてのジャンルを網羅しようとするメーカーの意図がありますがこの時代はTPOに合わせて使い分けろという購買力を促進する方法がスタンダードでした。

小型軽量で重低音を出す最近のハイスペックベースアンプ業界では真空管は既に過去の遺物。またチューブの持つコンプレッション感はギタリストには重宝されますがアクティブベースにはミスマッチな代物。しかし、ビンテージフェンダーベースの一番いい声を出すことにおいて最高峰なのは間違いありません。フラットなトーンセッティングでそのまま加工なしにベースの真髄が味わえます。音量、低音などという細分化したところではなく塊になってスタジオ隅々にしみわたりアンサンブルでしっかりと主張するベースラインは素晴らしいの一言。

さてスペックを見ていくとこの時代はベース用のウーファーなんかは無くみんなフルレンジ。ギターアンプと同じスピーカーを使ってキャビネットの工夫で低音を出していくという発想でこれはフェンダーを含めこの時期のすべてのメーカーがやっていた手法。ナチュラルなローミッドでギターもバッチリなマッチング、このアンペグにストラトを突っ込んで弾くと極上のクランチが飛び出て大盛り上がりします。当然、当時ついていたオリジナルのジャンセンは無くこの個体は2000年に入ってからの復刻ジャンセンですが頑丈に作られた密閉スピーカーキャビネットで十分な音量が出てきます。現代の大きい入力に耐えれるフルレンジを使うとよりモダンなサウンドが出るかもしれません。15インチキャビネットはダブルバッフルを採用していますがこの12インチキャビはシングルバッフル。箱鳴りをセーブするのに朽ち果てたグラスウールがキャビ後面にありましたが健康面を考えてウレタンクッションの吸音材に張り替えました。50年代のフェンダーツイードアンプのバックパネルなんかにはアスベストがしっかりと貼られていましたから時代ですね。アンプ内部を見ると前のオーナーがしっかりとメンテナンスしていたのがわかります。古いコンデンサーはすべて交換されて真空管は新品、そのままレコーディングに使えるコンディションです。古いアンプはフルオリジナルにこだわるとそのアンプのポテンシャルを味わえないことが多いのでコストもかかりますがそこが重要なポイントです。

チェックレイニーはあえて15インチバージョンではなく12インチでレコーディングをしていたようです。タイトな低音にクリアなミッドレンジで重量20kg台中盤。実用性が高く移動の多いスタジオマンに最高のスペックでした。ヘッドアンプ中央部の透明アクリルのアンペグプレートがアンプ内部に仕込まれた電球光が伝わって赤く光るのが何ともスペーシーな60年代。

 


65年製 Fender Super Reverb 2

2016-01-02 23:28:31 | AMPLIFIERS

1965年製のスーパーリバーブを検証してみるとCBSフェンダーに代わる時期の様々な変化をみることができます。1965年は回路がAA763からAB763にチェンジするのとブラックパネルのロゴ下の表記が「FENDER ELECT.INST.CO」から「FENDER MUSICAL INSTRUMENTS」に66年から変更。このアンプは内部パーツをよく見ると64年表記もあるのでほぼ1965年製ということになります。搭載スピーカーもこのころから数社にまたがるのはCBSグループになって仕入れ先が拡大し長年のジェンセンの雲行きも怪しいという事情も考えられます。1965年のフェンダー製品はギターやベース、アンプにもいろいろな変化がありますが会社の経営陣の変更ですからただ事ではなかったのでしょう。どちらにしても工業製品なのでよくあることですがそんな昔話に盛り上がるのはマニアしかいません。

やはりストラトをご機嫌に鳴らしてくれるアンプですがトレモロを作動させるフットペダルを調達しないと醍醐味が味わえません。特にこの歳になると。