丁度いいクランチサウンドが作れるフェンダーアンプとなると40Wクラスがお手頃です。しかし、音量はスタジオでバランスを取るのが厄介なくらいあるのがこの60年代中盤のブラックフェイスのフェンダー。最近はトランジスタのフェンダージャパンサイドキックがメインに躍り出ているため、なかなか活躍する場がない状況ですが定期的には火入れをしなくてはいけません。同じ40Wでもこれだけキャラクターが違うとレオフェンダーの求めるところのトーンというよりセールス側からの意見をドンドン製品開発に取り入れていったのが伺えます。トーンよりもあらゆるユーザーを取り込む商魂のたくましさがこのような膨大なアイテムとなっていったのでしょう。
さて、10×4のスーパーリバーブはツイード期のスーパーよりツイードベースマンの改良版の質感が見受けられ豊富なミッドレンジと低音がステージアンプとしてブルースマンに好まれた経緯があります。ストラトやテレキャスターは勿論ですがハムバッカー搭載のギブソンのオーバードライブに一役買っている感じが強いですね。ドライブペダルの融け具合も違和感がありません。ヘッドルームをノンPAでもつぶれ過ぎないところにチューニングして大きいキャビネットで複数ユニットを鳴らすベースアンプの原型も見ることが出来ます。
これと同じヘッドルームですが一回り大きいユニットの12×2をタイトにしたキャビネットに押し込んだプロリバーブはどちらかというとミドルを穏やかにしたフラット特性。強烈なオプションのJBL-D120Fがより当時純正だったオックスフォードやユタよりメローな質感ですがフェンダートーンには変わりありません。ツインリバーブのトレブルを落ち着かせ、整流管のミッドにコンプレッションを加えた一番仕事に使えるオールラウンドなアンプですがインパクトが足りない分人気が今一つ。デラックスリバーブ程コンパクトでは無いのと、この個体はJBLのおかげでツインリバーブと同じ重量にまでかさ上げしたものですからより運搬が困難。しかし、音は一番シックリくるフェンダーアンプがこのプロリバーブです。今活躍しているサイドキック65のチューニングはこのプロリバーブが基本になっています。いわゆるトランジスタのダミーアンプですがJBL・12×2のローミッドの音圧にはかないませんね。
こうして当時のブラックフェイスを弾くとゴチャゴチャいじらないでそのまま弾けと言われているようで、いかにスッピンのシングルコイルを上手に鳴らし切るかを再確認できます。