1年以上放置状態のマーシャルスピーカーキャビネット1922を完成させました。約20年前の個体なのでクリーニングとサランネットの張替、バッフル板の塗装等を施したのが昨年のお話。なんとなくサランネットの張りが緩かったので再度の張り直し。スピーカージャックプレートも劣化で固定ネジ部分が割れていたので2mm厚のアルミプレートでDIY。薄くヘアーラインを入れて軽く研磨したマッド仕上げ。ステレオ使用をしないのでインプットはシンプルに1個だけ。固定ネジを8個に増やし密閉度を高めました。内部配線もLAVAのTEPHRAですが何せこの物量ケーブルなので通常使用では問題は無いのですが移動時の振動でケーブルがグラつきターミナルソケットの破損や外れるのを想定してのケーブル固定。
最近、小型ヘッドアンプのDV MARKを使い出したので様々なキャビネットを使いたくなります。元々あったマーシャル2061Xヘッド用の小型キャビをイメージしていたのですがDV MARKに使ってみると抜群のマッチング。12×1のフェンダーキャビネットよりゲイン、ザラツキ感などが増量。繊細では無いですがヘッドルームが大きくなったような余裕とロックな感じの出音。セレッションの大味な雑味が密閉キャビネットでまとめられいいバランスになるのです。これが同じG12T-75を搭載してかつ一回り大きい容量の1936だとよりラウドな低音を再現できます。
1922は12インチ×2のキャビネットでは最小のクラスですがジャンルを選ばない用途に使えます。チューブ交換のような微妙なチューンナップとは違いキャビネットを変更すると露骨に質感が変わるので悪いほうに進む場合も。スピーカーユニットの変更よりもキャビネット容量やユニットの数がトーンに与える影響は凄まじいですね。
DV MARKのようなギターアンプヘッドが増えるとキャビネット選びの楽しみ方も増えてきます。ギタリストはツインリバーブの12×2、マーシャルの12×4、小型ハイエンドの12×1位しか知らないわけでスピーカーキャビネット自体のトーンにはあまり関心がありません。パターン化したアンプとスピーカーのコンビネーションだけでトーンを語っていたのが一般的です。しかし、エレクトリックアンプの基本系のフェンダーをひも解くとプリ部のチューブレイアウトは同じでパワー部とキャビネットの大きさ、搭載スピーカーのサイズや数で様々なモデルのデザインをしていたことから肝はキャビの容量とスピーカーユニットということが始まりでした。エフェクトペダルの進化と共にギターアンプはPA的な出力装置となっていき大型かコンパクトかというスタイリングになり個性やトーンは排除されていった90年代の反動からハイエンド小型チューブアンプブームの到来が始まりました。それらはチューブ本来のサーチュレーションを求め過ぎて小出力になり過ぎ、実際のバンドサウンドでは非力で実践的でないものも多く難しい選択に。汎用性の高い40~60Wの出力モデルがチューブアンプでは意外と少なくそこのレンジは全てトランジスタアンプのオンパレードが現実になってしまっています。どうしてもリアルチューブアンプに求めるビンテージ信仰からチャンプ、デラックスあたりとツインリバーブ、巨大マーシャルのスタイルを追ってしまわないとセールスに結びつかないというのもわからないわけではないですが。
このスモールヘッドアンプはほとんど同じ形状で50~150WまでのバリエーションがありキャビネットをTPOに合わせて使用すればバンド、会場、ジャンル、移動手段によって使い分けが可能。90年代のようなちょっとインチキなトランジスタアンプとは違いリアルにチューブクランチを再現出来るところが驚きます。昔は高価だった海外スピーカーユニットも今はほとんどがアジア生産に切り替わり乗せ換えも躊躇なく出来るのがいい時代になったような気がしますね。
いろいろ言ってもこのスタイルが集まると3段積にしてしまうのがオジサンの典型。
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