一面に錦を織りなしたように山が紅葉する様子を錦繍と言う。
宮本輝氏の名作に『錦繍』がある。
私にとって、この作品は忘れ難い作品であり、作者宮本氏は最も好きな作家の一人である。
宮本氏の半生は波乱に満ちていた。
彼の作品には、悪意に満ちた人は誰も居ないのに、人を恋した結果、泥沼に堕ちて行く男女が登場する。
それらの作品には、作者の両親に対する思いが背景にあった。
父親は家庭も事業も富も名誉も捨てて、愛人、彼の母親と一緒になる。
一番の理由は作者が愛しい女の胎内に宿ったからである。
それからコマが暗転して行く。
宮本輝氏は、このどうしようもない情に走った父親に、深い愛憎の念を持っていた。
それが痛いほど私に伝わってくるのだ。
同じように不幸な結婚生活を送った私の両親に、修正できない愛憎の念を持った私にとって、畏れ多いが宮本輝という作家は他人と思えないのである。
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