作品は東京郊外で便利屋を営む多田啓介と転がりこんだ行天春彦を主役にしている。
どちらも離婚歴がある。
一見、無愛想だが、限りなく人の良い二人である。
彼らの探偵まがいの仕事を通して、過去の傷から再生する過程を描く。
彼らは、いわゆる中流社会のアウトローだろう。
だからこそ、此れ程魅力的な人間像が描けるのだ。
ここには、偏見や差別が全く見られない。
有るのは、人として持つべき情である。
読み終えると、なるほど「成仏」できると思う。
行天と多田は優しい。
団塊世代の持つ「熱っぽい優しさ」でない。
きっと「さりげない優しさ」は三浦さんの世代のものなのだろう。
それぞれキャラクターは異なるが、街の雑踏の中で埋れてしまうような人の暮らしが、目に見えるようである。
「幸せは再生する」と多田は最後に呟く。
絶望から身体を逸らして生きていけば、きっと形を変えた幸せは訪れるのだ。
私も、地球のどこかにある「まほろ」という街で、ちっぽけな希望を持って幸せに生きたい。
読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️
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