日本に住んでいて、日々違和感無く暮らしているわけですが、中国や韓国のニュースを見ていて 「ちょっとオカシイだろ」 と思うことがあり、中国や韓国が異質なんだと思っていました。
しかし、中国映画、韓国映画を観ていると、欧米の映画と違わない雰囲気があって、そうしたものと比べると日本映画の方が、不思議な感じに思えることもあります。
それで、なんだかオカシイな・・・と思っていたのですが、どうやら異質なのは日本の方であり、世界中を見渡しても この独特の文化・思考というのは極めて珍しいようです。
中国が1000年前の宋の時代から、哲学的な儒教の思想を基本とした最先端国であったのに対し、日本ではそれ以前の唐の時代に伝わった仏教を国政に採り入れました。 神や仏を理屈抜きに信じれば救われるというのは単純で、民衆を従えるのにもチョー便利だったのかもしれません。以来千年余り、日本人に染付いた八百万の神々や仏様への信心は簡単に拭い去れるものではなくて、それに天皇制が続いている間は、先の中国化が起きたとしても、完全に塗り替えられることはないように思います。 ゆるやかに日本的な中国化が進むのじゃないかと・・・
ところで、日本には宗教や権威の象徴として美術品が多数残っています。 で、仏教が中国から伝わったのだから、中国にもさぞかし沢山のものがあるのだろうと思ったところ、文化大革命の頃に多くが壊されてしまったそうです。 なんとももったいないことです。 ただし日本でも明治初期に神仏分離令をだしたところ、これをきっかけに廃仏毀釈運動が広まって危ういこともあったそうです。
さて、写真の像は「芸術新潮」の空海特集に載っていた 高野山東寺の「持国天立像」(839年・木造) にて 「日本で最も恐ろしい四天王といわれている」 とのことです。 たしかに恐ろしいお顔ですが、なんとも格好いい! 中国的ではない現代に通じる日本の美を湛えているように思えます。 これらは空海の意を汲んで作られたのだと思いますが、出来上がった像を見て空海も大いに感動していたかもしれませんね。
それにしても八百万の神々や仏様が渾然一体となって住まわれる日本ってファンタスティックな国ですね。
写真:芸術新潮 8月号(H23)より