ルーマニアでの邦人大学生殺害について思うこと・伝えたいこと

2012-08-24 00:37:04 | 大きなこと
各種メディアで伝えられている通り、今月19日に東欧のルーマニアで日本人女性が殺害されるという痛ましい事件がありました。


ご冥福をお祈りします。


事件の後、特にネット上ではずっと物議を醸し出している話題です。
今回、この件について僕が思うこと、そして伝えたいことをまとめます。

というのも、僕自身二年前の春に、このプログラムを通して渡航した人間であること、そしてそれ以外にも何度か海外に行った中で、ちょっとした被害にあったり、ということもありました。
そのような体験を踏まえて、今後同様のことが起こらないように強く願うばかりです。

今回、被害に遭われた方は、ある学生団体の提供するインターンシッププログラムを通して渡航されたとのことですが、
先にも書いた通り、僕も二年前の春休みに、同様のプログラムを通して東欧のポーランドに行きました。

今は責任の所在や声明について、いろいろと議論されているようですが、

プログラム自体に関して言うと、とても内容の濃いものでしたし、僕はこの渡航が、ものの見方や考え方、そして将来のこと等について考える貴重な機会になったと思います。
実際、渡航前後で自分の動き等も大きく変わりました。

なので、海外に行くこと(旅でも留学でも)自体を否定するわけではありません。
興味があるなら、行ってみればいいと思いますし、日本にいるだけでは分からないこと、気づかないことだって沢山あります。



でも。



大前提として「自分の身は自分で守る」ということがあってのことです。

最低限の危機管理能力を持って、渡航して下さい。

僕がポーランドに行った当時、団体の担当者が本当にいろいろと助けてくれました。
事前の準備から渡航中のサポート・ケア、そして帰国後の対応まで、

僕自身も「こんなことがしたい」「こんなことが知りたい」ということがあり、そういう欲求に対応しれくれました。

今、特にネット上でネガティブなことばかりが言われているので、実際にプログラムの利用経験者の一人として、これは伝えておきたいのです。

ただ、僕が渡航したのは二年半前で、その時と事情が大きく異なっているのも事実です。
当時は「海外インターン」という制度自体がまだまだ認知されておらず、需要と供給のバランスが取れていたのでしょうが、ここ一年くらいで、巷の「海外ブーム」もあってか、渡航者が激増したようです。

(僕の知り合いも、「応募者が多すぎて、現在いるメンバーだけでは十分に対応できない」と言っていたことがあります。この事実は見逃してはならないことでしょう。いくら学生団体といっても、一つの組織として、そこはきちんと対応できるように、対策をとる必要があるとは思います。)

僕が渡航した時は、プログラム全ての期間(渡航時期の半年前に応募~準備~渡航~帰国後のケアなど含めて、まるまる一年くらい)において質の高い、納得のいくものを提供してもらいましたが、昨今のブームの影響で、質そのものが低下していたのではないか?ということはあるのかもしれません(これはあくまで推測です)。

ただ、先ほども書いたように、プログラム自体がいいものだと思いますし、特にネット上で起こっている過度の批判はどうなんかなー、と思ったので、経験者として一筆とってみました。



そして、ここからが本題というか、「海外での危機管理意識」について。

同じような内容は、他の方もブログで書かれていると思いますが。


今回の事件の内容を聞いていて、とてもえぐい内容であるのは事実なのですが、僕も同じプログラムで渡航した時には、現地に深夜(22時頃)に着くフライトを利用していたので、怖さはとても分かります。

僕の場合、高校でオーストラリアに行って以来の渡航がこの時でしたので、とても大きなストレスと不安に教われていたのは事実です。

首都の空港に着くのが深夜で、
しかも目的地はそこから更に電車で8時間くらい移動しないといけない。
プログラムの開始時日も決まっているから、それに間に合うようにしなければならない。
英語にそこそこ自信はありましたが、そもそも旧共産圏の地域で、英語が普及しているのか…?

などなど。

不安や問題って、案外多く出てくるもんです。

だからこそ、一つ一つ丁寧に、最低限の対応を取っていくことが必要です。
(「最低限」っていうのは線引きが難しいのも事実ですが)


例えば、「地球の歩き方」などのガイドブックを参考に、現地ではどんなトラブルが起こっているのかについて把握しておく。

目的地の空港には、日中に到着する便をなるべく選ぶ。
(日本からヨーロッパに行く場合だと、中東経由にするとか、ヨーロッパ直行便から乗り継ぐ場合でも、乗り継ぎ便の時間を変えてみるとか。基本日本を午前中に出発するフライトは、時差の関係でその日の現地時間夕方にパリやオランダの空港に着いて、そこから一番早い乗り継ぎ便を使うと、ヨーロッパ各地の空港に着くのは21時~0時くらいになります。中東経由だと、日本を深夜に出発して、トルコやカタール、ドバイに現地時間早朝に到着、そこからヨーロッパに向かうと13時とか日中に着きます)

どうしても深夜に空港に着く場合は、その日の宿泊はホテル隣接のホテルを使う(値段が高いのは当然ですが、それでも安全料としては安いです)。空港から目的地が遠い場合には、その間の移動は翌日に日中にする。

服装はなるべく現地に合ったものを。おしゃれはせずに質素・簡素な服装で。

財布も小汚い小銭入れを使って、ズボンの両ポケットに分散。絶対に後ろポケットには入れない。
(ヨーロッパの旅であった日本人で、地下鉄に乗った時に気が緩み後ろポケットに財布を入れてしまい、すられた人がいました。全ての現金、クレカを一カ所にまとめるのも危機管理意識が低いですが、びっくりするほどそういう日本人は多いです。僕の場合、クレカは二枚持っていき、一枚は財布、もう一枚はパスポート入れに入れて首から下げる、などの対策を取っています。数カ国の貨幣を持つ場合は、ポケット数カ所、パスポート入れ、靴下の中などに分散する等の対策も有効です。)

向こうから話しかけてくる人の相手はしない。
(たとえ「道を教えて下さい」と聞かれても、それがグルの場合もあるので、相手にしないほうが賢明だと思います。「日本語の勉強をしています」など、変に馴れ馴れしいのも基本無視です。)

高額な物品(一眼レフカメラやパソコンなど)は、できるだけ人前に見せない。
(日本人は観光地でカメラ片手に、もしくは首からぶら下げて歩きますが、あれは「私はカネになるものを持っているので、盗って下さい」と言っているようなものです。僕も実際、カメラ盗られた経験があるので。)



他にもいろんな対策は考えられますし、いろんな情報を自分から取りにいくことが必要でしょう。普通のタクシーと白タクの見分け方、両替の際にお金を多く取られる、などもあります。インドだと、無理矢理旅行会社のデスクに連れて行かれ、高額なツアーの申し込みをさせられる、というようなこともありますし、中国だと、日本語学習者や地方から観光に来た、という持ちかけ方でお茶に誘い、高額の請求をする、といった手口が有名です。そして、引っかかる人が後を絶たない。

海外では、日本で考えられないような手口が沢山あります。荷物の中に麻薬を紛れさせられて、捕まったという事例もあるようですし…。


外務省の渡航情報ページにアクセスするのも一つの手段でしょう。実際に渡航した先輩や知り合いの方に話を聞くのも方法の一つでしょう。
渡航先にある大使館や領事館の住所や営業時間、電話番号は控えておく、
海外でも使える携帯電話を持っていく、等。

対策はいくらでもありますし、やり過ぎることは決してありません。

そして最終的に自分を救うのは、これらの事実を、どれだけ「自分事」として捉えることができるかどうか、という意識のありようでもあると思います。

どれだけ対策をとっても、被害に遭ってしまう時は遭ってしまいます。
(僕は、カメラをボディバッグに入れて胸の前に隠していたのですが、一瞬注意をそらした際に、やられてしまいました。実はポーランドでも、ずっと肌身離さず身につけていたサブバッグを、体から話してしまい、盗られました。そしてその中に現金やクレカ、パスポートまで入れていて、大使館のお世話になったこともありました。エアポケットというか、本当に一瞬の気の緩みが大きな被害に繋がってしまう経験をしています。)


これだけいろんな被害(多くは盗難やスリといった被害ですが)が起こっているのに、未だに後を絶たないのは、渡航者の心のどこかに「自分は関係ない。絶対に被害に遭わない」という気の緩みがあるのではないでしょうか。

恥ずかしい話ですが、僕も昔は「これだけ注意しているから絶対に大丈夫」と思っていたことがあり、そこで被害に遭いました。
でも、逆に言うと、こんな被害に遭っているからこそ、「きちんとしておかないと、また被害に遭ってしまう」という意識が強くなりましたし、渡航の際は必要以上に注意や対策をするようになりました。

本当は、被害に遭わないのが一番ですし、これから渡航をする人に対しても、そうあって欲しいと思いますが、

でも、最終的には一人一人の心の持ちよう。どれだけリアルに意識しているか、が問題なんだと思います。

一つの命が奪われてしまった後で、何を学ぶのか。
「次は自分かもしれない」という意識を心のどこかに持っておくことは必要です。






最新の画像もっと見る