宮崎駿の思想集(1)

2011-07-28 17:18:35 | 大きなこと
こんにちは。

今、宮崎駿の「出発点」という分厚い本を読んでいるのですが、共感する部分がとても多くあるので、ここに(備忘録も兼ねて)書こうと思います。

あくまで、自分の趣味なのですが(笑)、「子どもの教育」「自然保護・環境」などに対する考えは鋭いので、是非目を通していただければ、と思います。

以下、『出発点(1979~1996)』(宮崎駿・著 徳間書店スタジオジブリ事業本部・発行 1996)より。
後ろの数字は、頁番号です。



・「日本人の没落というときに、何が一番気になるかといったら、今後右肩上がりの経済成長が続くかとか、マルチメディアがどうしたとかいうことよりも、この国にいる子供たちが元気なのかどうかということが、僕は一番気になります。」(p13)




・「小学校を変えなきゃだめだと思います。中学生や高校生になってから取り戻そうと思っても、無理だと思います。

(中略)

大人になると人間は不自由になるけど、子供のときはずっと自由なんだというものの考え方があったと思うんです。けど、いつの間にか子供時代というのは、大人の時代のための投資の時期だというふうにしてしまったんですね。その先行投資が、いまことごとく裏目に出てるんだろうと思うんです。」(p14)



・「幼稚園で字を教えるなんて発想を捨てることですね。小学校五年ぐらいになって、自分が主人公で物語を考えるその時期に、オデコにペケってペケ印を捺されると、それはもう回復しないです。

子供時代というのは、大人のためにあるんじゃなくて、子供時代のためにある。子供の時代にしか味わえないようなことを味わうためにあるんだと思う。子供時代の五分間の体験というのは、大人の一年の体験より勝るんですよ。トラウマもその時にできるわけでね、その時期にどれほど社会全体が知恵を絞って子供たちがいかにのびのびと生きられるようにするか。」(p15)



・「子供時代に先行投資をすれば、そのあとそれが大変な配当になって戻ってくるという錯覚でしょうね。これは自分自身がつまらない人生を送っている親の、勝手な幻影じゃないか、と僕は思うんですけども。」(p16)



・「僕が自分の周りにいる小さな子供たちと、夏だけちょっと山小屋でつき合ったりしますとね、いい子だなと思った子が、小学校二年になったとたんに九九でいま悩んでいるとまで聞かされるんです。そうすると頭に血が上るんですよね、なんでこんな子に九九を教えなきゃいけないんだって。何年か待てばすぐ覚えられますよ。なんでこんな小さな魂を「覚えなきゃお前は一人前の大人になれないんだ、一人前の子供じゃないんだ」みたいにして脅かすんだろうって。それはどんな善意だろうがなんだろうが、ほんと許せないですよ。その子の小学校二年のもっと豊かに暮らせるはずの時間を、それで奪っているんだと思うんですね。」(p16~17)




ちなみにこれは、筑紫哲也さんとの対談らしく、1996年に行われたものです。

今から15年前のことだとは思えないくらいに、現代の日本社会にも当てはまるとは思いませんか。

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