五、「教会とわたしたち」(353)
4.近代の教会の夜明け ―宗教改革とその後―ツヴィングリ
ツヴィングリの後継者をだれにするかで議論が深められ、最終的には、人柄が謙遜で温厚なJ・ハインリヒ・ブリンガー(1504~75)が選ばれた。1531年に逝去のツヴィングリの後継者として、チューリヒの大聖堂教会牧師になり、死ぬまで留まり、良くその職を務め、彼の大きな貢献は、ドイツ語圏スイスにおけるチューリッヒの聖餐論の神学的姿勢を崩すことなく、ジュネーヴのJ・カルヴァン(1509~64)の指導の下にあるフランス語圏スイスとも交流を密にして、スイス改革派の伝統を形成し、大陸各地やスコットランドのJ・ノックスなどのためにも安定的勢力としての改革派教会の力となった。(主な参考文献・宗教改革著作集第五巻・教分館1984年、出村彰編)(ここまで前回)
いま、宗教改革に至る歴史を終了する。しかしこの後、現代までの歴史は、来年2017年にはルターのヴィッテンベルク城教会の扉に九五ヶ条の提題が掲げ宗教改革の大旋風(1517年)が巻き起こされて五百周年を迎える。その歴史を覚えながら、われわれはこの稿において近代から現代へと進む。スイス・ツヴィングリの時代のカトリックの信仰を固守した、いわゆる森林五州の一つ、ルツェルン州古都ルツェルン近郊のスールシーでカトリック信仰をもつ両親の元に1928年に生まれたハンス・キュンク氏の著「キリスト教思想の形成者たち」などを参考にしながら聖書の使徒パウロから始まった歴史を辿ることにする。(つづく)