五、「教会とわたしたち」(359) 5.近代から現代へ(宗教改革とその後)
極め細かな答を彼のその人生最後の作品「神の国」において語っている。その目的は、まずはローマ帝国の崩壊はキリスト教の責任ではないことを諄々と書き綴るところからはじめている。またキリスト教の後世に残して余りある基本的教理を語るのであった。落胆する多くのキリスト者を励ますために、彼をしてもっと大きな作品を出すように勧めたその友人は、カルタゴの護民官で公証人という公的地位を持つ人であったが、その名はマルセリヌスといった。
その「神の国」の書き出しは次のとおりである。「わたしの愛する子、マルセリヌスよ、この書においてわたしは神の国の輝かしい想念を陳述しようと企てた。そもそもこの国は二つの領域に属する。一つはこの世における人生の行路であって、そこではこの国は信仰に(ここまで前回)よって生かされつつ、不信者の間で異国人としてその行程を歩むのである。もう一つは永遠的な彼岸の故郷であり、それを神の国は正義が審判を来たらす時まで、いまは忍耐をもって待ち望んでいるのである。そのとき最後の勝利が得られ、平和が回復され、そして神の国はかち取った大いなる報酬を受けるであろう。約束に従って、約束に従って、わたしはこの書をあなたに献呈しよう。わたしの意図は、この国の建設者である神の代わりに彼ら自身の神々を選び取る者たちに対し、この国を弁護することである。この仕事は長い時を要し、労苦の多いものとなるであろう。しかしわたしは神の助けを信じている。傲慢な者に~(つづく)