五、「教会とわたしたち」(326)
4.近代の教会の夜明け
―宗教改革とその後―
ヨーロッパでは16世紀初頭から17世紀中葉までの大航海時代が始まるのであるが、キリスト教的にはその象徴的なその拡大の最初の事件は、1620年、メイ・フラワー号の帆船に乗船した120名ばかりのイングランドの清教徒(ピュ―リタン)共同体がマサセチュー湾に到達したことによって更なるキリスト教拡大時代の幕が開かれたといってよい。このことは特に現代、アメリカ学として神学的に重要になって来た。 従って、キリスト教神学の歴史の要となり、出発点となっているのは、いわゆる宗教改革である。そのため、今まで述べてきた1520年代の初頭のルターと、その後のカルヴァンの宗教改革があった。
しかし、この二つ出来事とは、そのはじめ関係なしにスイスのチュリッヒ(ここまで前回)でもルターと同じ時代に、ツヴィングリーが行動を起こし始めた。ルターが1483年生まれなら、こちらは1484年生まれであった。富裕な農家の出で、まったく環境は違うが、天の配剤であろう。この世界に必要な人を起こすのであった。就学の過程の中でいろいろあったが、18歳のときバーゼル大学に入り、神学を含む一般教養を身につけると共に、当時のカトリックの硬直したスコラ的神学に対する興味をまったく失い、卒業間際に神学教師で宗教改革的思想の持ち主ヴィッテンバッハ(1472~1526)に師事し、聖書中心的にして、恩寵中心的思想を学んだ。(つづく)