五、「教会とわたしたち」(402)
5.近代から現代へ(宗教改革とその後)
はじめに、近代への萌芽としてアウグスチヌス著「神の国」(1968.教団出版)(その42)
27.罪を避けるため自殺することは許されるか
しかし、もしだれかがこのような立場が健全だと他の人を納得させようとするならば、わたしはそのような人は愚かであるだけではなく、
気が狂っている(前回はここまで) と言わなければならない。いかにして人は他人に向って厚顔にも「蛮人のような主人である情欲の
絆の下に生きながらえ、かくして小罪に加えて大罪をまで犯すことのないよう、自殺してしまいなさい」と言えるであろうか。いかにして人
は罪を犯すことなしに、同じ人に向って「さあ、あなたの罪はすべて赦された。不潔な快楽によって汚され、言うべからざる残酷さに荒れ狂い、
恐るべき過ちと恐怖とに満ちているこの世に生きながらえ、同じような、あるいはそれ以上の罪を犯すことがないように、自殺してしまいなさい」と
言えるだろうか。そう言ってはならないからには、自殺すべきではない。もしも自決の正当な理由があるとすれば、
これ以上に正当なものはないはずであり、それが十分に正当でないからには、正当な理由というものはいっさい存在し得ないのである。
28.ではなにゆえに、神は敵が貞節な者をこのように取り扱うのを許されたのか。
キリストにある忠実な者たちよ。たとえ敵が
あなたがたの貞節を慰めものにしたからと言って、生きることを重荷に感じてはならない。
あなたがたに対して悪行を犯すことを許された者の罪に、(つづく)(「神の国」出村彰訳)