五、「教会とわたしたち」(436) 5.近代から現代へ(宗教改革とその後)
はじめに、近代への萌芽としてアウグスチヌス著「神の国」(1968.教団出版)(その76)
最終篇に入ります。
第二十二篇 神の国の永遠の浄福に
7.この世がキリストを信じるに至ったのは、人間的な説得の結果ではなく、神の力の結果である。
8.この世をキリストの信仰へと獲得するためになしとげられ、世界が信ずるに至った今でもなされている
奇跡について。
男女の全会衆は兄妹を目のあたりにしたが、兄はしっかりと立っているのに、妹は全身震えているのに気が
ついた。神の憐みが兄のためになしたことを自分で見なかった者たちも、その妹を見ることによってこれを知る
ことができた。人々は兄のゆえに感謝を捧げ、妹のために何を祈り求むべきかを知った。読み終えると、わた
しは二人に(前回はここまで)立ち去るように命じた。それから、わたしは注意深く出来事全体を論じ始めた。
わたしがまだ話を続けている間に、新たな讃美の声が寺院の方向から聞こえて来た。
会衆はわたしを残してそちらへ走って行った。少女が立っていた階段を下りて、殉教者の廟の前に行き祈っ
ていたようである。彼女の手が手すりに触れるやいなや、彼女も倒れて眠っているようになり、起き上がったと
きには完全に癒されていた。いったい何が起こったのか、この喜びの叫びは何を意味するのか尋ねていると、
会衆は彼女とともにわたしのいた教会へもどって来た。連れてこられた彼女は全く健やかになっていた。
そのとき、 (つづく)(「神の国」出村彰訳)