(原 光訳 2000年、沖積舎)
ダンテの「神曲 地獄」編 第13歌(カッコ内は筆子、その3)
◯ここには醜悪なアルピアたちが巣食つてゐる、未来の禍について不吉な予言をしてトロイア人をストロファデから追出したものどもだ。
その翼は幅広く、頸と顔は人間で、足には鉤爪があり、大きな腹は羽毛で覆はれ、奇怪な木木の上で悲しげに鳴いてゐる。
親切な師は言つた、「もつと分け入る前に、ここは第二の環(かこい)だと知るがいい、恐ろしい砂地に着くまでは(ここまで前回)
◯ずつとさうなのだ、だがよく見るがいい、わたしが話しただけでは信じてもらへまいものが見られるだらうから。」
いたるところから悲痛な呻きが吐き出されるのが聞えたが、吐き出すものが見えないのでわたしはすつかりとまどつて立止まつた。
こんなにも多くの声は繁茂してゐる木木に隠されて、わたしらには見えぬものたちが発してゐるのだらうと、わたしが思つてゐると思つたからだらう、(つづく)
◯2016年3月20日は第十二主日。日聖協「聖書愛読こよみ」は「主の苦難をしのぶ」という主題である。マタイ21章1~11節、その11節、「そこで群集は、『この方は、ガリラヤのナザレから出た預言者イエスだ』と言った。」と。ここに群集は、主イエスのことを「ナザレから出た預言者」という。田舎者という蔑みがあり、同時に『異邦人のガリラヤ、『暗闇に住む民は大きな光を見』(マタイ4・16)と。希望の光のために苦難をしのぶお方。
◯写真は、3月7日、東京・渋谷区の日本キリスト改革派教会・東京恩寵教会での第44回日本改革教会協議会の司会者三好明教師(左、志木北伝道所牧師)。手前、講師今井献先生