心が満ちる山歩き

美しい自然と、健康な身体に感謝。2019年に日本百名山を完登しました。登山と、時にはクラシック音楽や旅行のことも。

焼石岳 鮮やかで美しい紅葉の山へ(1)

2020年12月08日 | 東北の山


焼石岳(1,547m)


 岩手県の焼石岳のことは、山と渓谷社の本を読んで知りました。高山植物の豊富な山と知って惹かれましたが、初めて登ったのは花の季節ではなく紅葉の季節でした。10月の週末、土曜日に栗駒山へ登り、日曜日は栗駒山の近くにある焼石岳に登ったのです。
 東北本線の水沢駅から乗ったタクシーは、国道397号線を快調に走りましたが、林道に入ると底をすりそうな砂利道になりました。杉の植林地を過ぎると登山口でした。
 駐車場は、舗装もされていませんが、車がびっしり停まっています。
 階段状になったところもある登山道を緩やかに登ると、40分ほどで中沼です。
 ここで世界が一変します。中沼はとても大きく、水面が地平線のように横へ広がっています。後ろにそびえる焼石岳もなだらかな山でした。対岸の原生林はほとんど黄色に紅葉しています。
 登山道は中沼の南岸に付けられています。ほとりと呼ぶより、水際と呼んだ方がふさわしいくらい、水のすぐそばを歩くところもあります。
 そこからは驚くような紅葉の連続でした。山で見る紅葉は、鮮やかな紅葉と落ち着いた紅葉の両方が入り混じったものが多いと思いますが、焼石岳には鮮やかな方の紅葉しかありませんでした。
 後で写真を見ても、うまく想い出せないのが残念です。もっと濃い色だったはずだと思います。
 中沼の景色は、中沼を過ぎても印象に残ります。水面や空の青色と同じくらい輝いて、透き通っている紅葉を生まれて初めて見ました。


 「~ しかし、つねに強調して置かなければならないのは、完全に純粋に響いて、一色の光しか放射しないような要素は現実には存在しないこと、「基本的、あるいは原要素的」と呼べるような要素は素朴ではなく、複雑な性質のものだということである。 ~」
 (『点と線から面へ』 ヴァシリー・カンディンスキー、宮島久雄訳(ちくま学芸文庫))

 「完全に純粋に響いて、一色の光しか放射しないような要素」は、もしかすると山の中には「現実に」あるかもしれません。自然のままの原生林の紅葉はとても美しく、単純なものであるはずがありません。「素朴ではなく、複雑な性質のものだということである。」という言葉の通りだと思いました。
 




 (登頂:2014年10月中旬) (つづく) 



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