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埋められた毒 中国が隠す土壌汚染

2017-06-26 18:09:25 | 日記

 中国政府は、大気汚染や水質汚染については積極的に公表してきた。これらの汚染は目に見える形で現れ、隠しにくいからだ。それでも中国政府が、大都市の大気におけるPM2.5(空中を浮遊し、肺の奥深くに入り込んで健康を損なう微小粒子状物質)の濃度をリアルタイムで公表し始めたのは13年で、国民の怒りの高まりを受けた末のことだった。

 15年には中国人ジャーナリスト、柴静(チャイ・ジン)氏が中国の大気汚染を告発するドキュメンタリーをネット上で公開したが、閲覧回数が2億を突破すると政府による検閲でサイトから削除された。

 中国政府は国民の不安をよく認識している。14年に李克強首相は、「環境汚染を絶対に克服してみせる」と宣言した。

 16年には中国政府は、土壌汚染地の90%を20年までに利用可能な状態にするという実現不可能とも思える計画を発表した。そして同年3月、李首相は「われわれの空を再び青くする」と約束し、16年のPM2.5の濃度は「顕著な」低下を記録するだろうと述べた。

■隠蔽主義をやめるべき

 そうした動きは大歓迎だ。しかし、中国が地球環境保護で世界のリーダー役を果たそうというのであれば、風力発電や太陽光発電の施設建設だけでは足りない。自国が抱える様々な他の環境問題についても明らかにしていくことが必要だ。その上で、他国にも同じことを要求していくべきだ。

 パリ協定を成功させるためには、透明性が不可欠な要素となる。地球温暖化防止のために何か約束しても、実際に行われているかどうかを検証できないなら、共通の目的に向かって加盟各国を結束させることはできない。

 地球環境問題で指導的立場に立つためには、中国政府はパリ協定が定める義務以上に踏み込んで、自ら自国のCO2排出量を国際機関に計測させるのも一案だろう。少なくとも、自国民の健康にかかわるような差し迫ったほかの汚染問題についても隠蔽主義をやめるべきだ。

 そうした情報を公開していけば、中国の国民は自分たちがどんな危険にさらされているかを理解できる。そして政府高官らに環境汚染を止めるよう責任を果たさせることができるようになる。

 「エコノミスト」を読んでくれている北京の市民たちは、太陽の光がどんなものか、もはやぼんやりとしか覚えていないかもしれない。だが、隠されているものを明るみにする光こそが、最も有効な汚染対策と言えるはずだ。

(c)2017 The Economist Newspaper Limited. June 10-16, 2017 All rights reserved.

2017/6/26 6:30 日経

▼ 「水の国」キャンペーンが泣く、濁る世界遺産・熊野川…清流イメージ無残、茶褐色の川に観光客あ然

 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の観光スポットである「熊野川」の濁りが止まらない。かつての「鮎がすむ清流」のイメージは見る影もなく、茶褐色のドロリとした流れが岩を洗っている。上流の脆弱(ぜいじゃく)な岩盤からの崩落が原因とみられるが、あまりに広範囲すぎて抜本的な対策も打てない。県も一時、「絵的に厳しい」と川の写真や説明を観光パンフレットから外したほどだ。自然と人智の闘いは終わりが見えない。(菊池昭光)

清らかな水の道は…

 「あの川の色は何? いつも濁っているの?」。宮崎県日向(ひゅうが)市から観光に来た女性公務員(57)は熊野川を見て驚いた。確かに台風や集中豪雨の時のように茶褐色に濁った水流は、見る人にそんな疑問を抱かせるだろう。

 流域が奈良、和歌山、三重の3県にまたがる熊野川。熊野灘に流れ込むまでの熊野本宮大社~熊野速玉大社間の流域は、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されている。大和地方から貴族や豪族、庶民までが熊野本宮大社から熊野速玉大社まで船を使って参詣したことから、「水の古道」とも呼ばれるが、現在、その清らかな水の道は見る影もない。

弱い岩盤とダム

 《国土交通省のホームページによると、熊野川は奈良県天川村の山上ケ岳(標高1719メートル)が水源で、長さ183キロ、流域面積236平方キロ。流域の土地利用は、森林が約95%、水田や畑地などの農地が約1・5%、宅地が約0・5%、その他が約3%》

 熊野川には、奈良県十津川村を縦断する「十津川水系」と、和歌山県の飛び地の北山村から流れ下る「北山川水系」があり、新宮市熊野川町で合流している。濁っているのは十津川水系で、北山川水系は観光客に人気の瀞峡(どろきょう)を抱く清流で透明度も高い。

 なぜ十津川水系だけが濁るのか。第1の要因として、川岸の岩盤の弱さが指摘されている。河口に位置する新宮市によると、常時、無数の崩落が起きており、土砂がダムや河川に流れ込むことによって濁りが生じているというのだ。特に平成23年の紀伊半島豪雨以降、濁りが激しくなり、豪雨発生前の2倍になったという数値も確認されている。

 第2の要因は、電源開発(Jパワー、東京)が管理する奈良県十津川村の風屋ダムと二津野(ふたつの)ダムの存在が挙げられている。ダムにたまった水が濁り、深層部は汚泥がたまっている状況だ。(以下省略)

 濁りのひどい十津川水系(右側)と清流の北山川水系(左側)の合流地点。透明度の違いが分かる=和歌山県新宮市熊野川町

2017.6.26 09:00 産経west

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