ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫) 価格:¥ 500(税込) 発売日:2009-01-24 |
でも、それで読書家だと誤解されるのですが、私は決して読書量は多くないし、読むスピードはむしろ遅いんです。
なのに欲張りで本を図書館でも借りますし、友達にも借りてしまう。
そうして、図書館のは返却期限がありますのでつい優先してしまい、友達のがなかなか読めない。
あまりにも借りっぱなしなので、最近反省して読んでる最中です。
この本は、そんな本の一冊。借りたのは映画化作品の公開時でしたが、読んだのはついこの間。(ご、ごめん……)
ブラピ主演の、不思議な映画の原作。老人で生まれて、成長するたび若返っていく男の、奇妙な人生の物語。
友達にごく短いストーリーだと聞かされていましたし、アイディアストーリーというか、コントのようなショートショートを想像していたのです。
でも読んでいて、すぐ気がつきました。これは怖ろしい物語なんだと。
人間が青春期を過ぎ、若さを失っていくのは寂しいことだと思っていました。そうしてさらに、老いて体も動かなくなり、いつしか記憶さえ曖昧になっていくのは、怖ろしいことだとも。
けれど、それをくるりと裏返し、若返っていっても、やはり残酷な結末が待っているのでした。
夜に入ってゆく時間を『誰そ彼』(たそかれ)、明け方を逆に『彼は誰』(かはたれ)と、昔の人は呼んだそうです。
夜に向かっても、朝に向かっても、結局人間は薄闇の中に消えて行くだけなのか、と思うと、怖ろしく、またもの寂しくなったのでした。
映画はまだ、観ていません。この物語は映画で、どう描かれていたのか、気になりました。