第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) 価格:¥ 520(税込) 発売日:2011-11-23 |
ピースの又吉直樹が読書好きなのはなんとなく知ってはいましたが、こういう本が出ているのは貸してもらうまで知らなかった。
変わったタイトルですが、まえがきによると“自分は書評家ではないし、作家の人が心血注いで書いたものを批評するのも怖れ多いので図書係、しかも第二図書係、補佐”という趣旨らしいのです。
そのせいか内容も、ほとんどが自分の日常や体験を綴ったもので、エッセイの最後にほんの少し、その章にとりあげた本のことが出てくる、という具合。
突然木から落ちた青い実を、自分以外たったひとり女の子が見ていたから、そのひとなら自分を分かってくれるのではと追っかけてしまったエピソードとか、かつてのチームメイトを見返そうとサッカーの練習に励んで巧くなったが、予想外の結末が待っていた思い出話とか、それぞれに印象的で、面白い。
でも思い出してみると、はて、紹介されていた本は何だったかな?と思うこともしばしば。
ただ、読んでいると人生の味、と言うほどではないにしろ、ほろ苦い彼の青春の味が感じられ、それにそれぞれの本が寄り添っているのがふいに、伝わってくるのです。
そうして、個人的な読書とは本来そうしたもの、という気持ちにもなってきます。
紹介されている本が読みたくなってくるとともに、自分の青春に寄り添っていた本は何だったかな、と思えてくるエッセイです。