グーグーだって猫である1 (角川文庫 お 25-1) 価格:¥ 540(税込) 発売日:2008-06-25 |
『長い長いさんぽ』は、今現在ちょっと読めない、と前回の記事で書きました。
でもこの本はむしろ、猫を送ってから何度も読み返しているのです。
ちょうど今の気持ちに、寄り添ってくれるトーンというか。
この本が別れの本、というよりは新しい出会いの本であるせいもあるかもしれません。
タイトルにあるグーグーというのは、著者大島弓子氏の2番目の猫です。
そうして、このエッセイ漫画の大半はその猫とビーという3番目の猫について描かれていますが、巻頭の2編は、最初の猫サバとの別れについてのエピソードなのです。
私がこの本を最初に読んだときは、(刊行されたばかりの、10年近く前。でも立ち読みでした!スミマセン。今は持っています)一番心にひっかかったエピソードは巻末の3編、大島氏が入院・手術した顛末でした。
なにしろ自分も独り身なので、自分が病気になった時のこと、そして、ひとり暮らしになっていた場合、ペットの世話を誰に頼めるのか、ということが気になって。
でも今回、やっぱり共感したのは、猫がいない日々の心持。
引っ越しをしようと考えていて、あ、ここにサバのトイレを置こう、と思いかけて、サバのこともう考えなくていいんだ、と思った時。
“そういう時 身のおきどころなく さみしかった”というひと言に共感!
でもあくまで淡々と描かれていて、絵も文も静かな表現なのに救われます。
以前何かで読んだか聞いたかしたのですが、落ち込んでいるときは無理に明るい音楽を聴いたりせずに、悲しいメロディに浸った方がいいそう。
でもかといって、シャンソンの『暗い日曜日』とか、チャイコフスキーの『悲愴』とか、聴いた人の何人かが自殺した曲とかありますから、暗すぎるのも良くないようです。
今の私にはこの本のほのぼの感と素朴さが、ちょうどいいリハビリみたいです。