松本清張傑作短篇コレクション〈中〉 (文春文庫) 価格:¥ 740(税込) 発売日:2004-11 |
未読のストーリーで、しかもどんな話かも聞いたことがなかったので、先が読めなくてドキドキしました。
謎めいた書道教授の正体が少しづつ明かされていくけれど、彼女の真意はどこにあるのだろう、と思っていたら、驚きの展開。
そういえば、松本清張の悪女って、悪い女というより、不幸な女、と言った方がいい女性が多いよな、と思いました。
(でも、江戸時代とかの毒婦列伝なんかも、お富さんとか別に悪女じゃないよね、っていうのありますよね。横溝正史の短編『女怪』のヒロインも、このくらいで“女怪”なんて言われたくない!と思った)
私、悪女ものって大好きなんで、書道教授久子のあでやかだけどはかない雰囲気が心に残った……と言いたいところですが、荻野目慶子のしたたかな悪女像があまりにも強烈でそっちが印象強かったです。
小柄で、可憐な容姿で声も可愛いのに、ホントに怖いし、凄まじかった。
船越さんの、だらしない男もけっこうあっていましたね。でも、どうしても主人公に感情移入するから、最後の急転直下はぞっとしました。
でも、地味な話だろうと思っていたけれどけっこう意外性もあって、私はけっこう面白かったです。
不幸な悪女の面影もほんのり目の裏に残って、余韻もあるのですが、きれいな話で終わらないで皮肉な雰囲気を残すのが、いかにも社会派かな、とも思いました。
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