アクバル王と彼の息子、孫は、龍涎香( ambergris)※や沈香、香料で絶えず香りが漂う室内、コートホールでの薫香、それに香りを肌に付けるのが非常に好きでした。その内のいくつかはヒンドゥー教徒が神殿で使用していた古代の方法でしたが、歴史家が記録しているように、いくつかのお香は彼によって作り出されました。お香は毎日、美しい形の金、銀の香炉で、ハーレムで燃やされました。甘い香りの花も大量に使用されました。アラク、イター、オイルが花から抽出され、皮膚や髪の毛に使用されました。アクバルは Khushbu-Khana(香料部門)と呼ばれる部門を作り、シャーマンスール(Shah Mansur)がそれを担当していた程です。
イギリス ワイルダーズマス ビーチ(Wildersmouth Beachで発見されたアンバーグリス)
https://www.bbc.com/news/uk-england-devon-42703991 説明はWikiから引用させていただきました。
※ 龍涎香(アンバーグリス)
灰色、琥珀色、黒色などの色をした大理石状の模様をした蝋状の固体で芳香があります。龍涎香はマッコウクジラの主な食料である、消化できなかったタコやイカの硬い嘴が核になり、消化分泌物により胃の中で結石化したものです。クジラが吐き出したものがヨーロッパの海岸に稀に打ち上げられています。日本にも相当数打ち上げられているようです。気づかないのは興味がないからでしょうが。大変高価なものです。この大きさで£200,000(約27,334,300円)です。かなり臭いと言われています。そりゃあそうでしょう。胃の中で腐って、鯨がこらえ切れなくなって吐きだしたものですからね。しかしこれを薄めて嗅ぐと、堪らなく良い匂いです。ニオイというのはそういったものなのでしょう。
お香の材料は、遠く離れたさまざまな地域から手に入れました。アンバールは、キプロスと地中海地域で育った木から、カプール(カンファー)は木の抽出物でした。シベットとガウラはアフガニスタンのアチンから入手した動物製品でした。ミッドは動物の分泌物から調製されました。沈香はUdとも呼ばれグジャラート、アチン、ダナサリから来ました。頻繁に使用されるチャンダン、カプールは国産でその他は、中世のオリエント全体から輸入されました。
1605-1627年に君臨したムガル帝国皇帝ジャハーンギールの肖像画
Abu'l Hasan ( アブハルハサン、1589 – c. 1630、インドのデリー出身、ジャハ-ンギール統治時代のムガル帝国のミニチュア画家 ) 1617画。手に持っているのは地球儀。
本名であるNur-ud-din Muhammad Salim ( نورالدین محمد سلیم)(ヌールッディーン・ムハンマド・サリーム(ジャハーンギール)のうち、「皇帝名ジャハーンギール:جهانگیر」は、ペルシャ語で「世界を征服する者 ( Jahan: world ; gir : the root of the Persian verb gereftan: to seize )」の意。ヌールッディーンはアラビア語で「真実の光」の意。「世界を征服した絵」をご紹介したついでに、もう一枚の絵を取り上げておこうと思います。上とは全く趣が異なる絵です。