ジョン リンドリー(John Lindley )が指摘していた最後の、R. sambucinaを取り上げます。ここから、いよいよと言いますか、日本の薔薇を扱うことになります。
野生のバラは北半球にのみにおよそ150種あります。その内、日本に自生している薔薇はアズマイバラ、オオタカネバラ、カカヤンバラ、カラフトイバラ、サンショウバラ、タカネバラ、ツクシイバラ、テリハノイバラ、ナニワイバラ、ニオイイバラ、ノイバラ、ハマナシ、フジイバラ、ミヤコイバラ、モリイバラ、ヤブイバラ、ヤマイバラがあると言われています。この中には日本の原種、かつては原種といわれていたが今は他のグループに入っている薔薇、それに他の薔薇との交雑種が入っています。今は新しい手法が導入され分類学の変革期に入っています。薔薇の本を参考にしようとすると、何を指針にしたらいいのか迷うほどです。何かと異論はあるかと思いますが、ここではGBIFの分類をベースにお話を進めていこうと思います。
ロサ サンブキナ(Rosa sambucina Koidz)
Rosa sambucina Koidz. (ヤマイバラ)
=Rosa sambucina var. pubescens Koidz.
(日本原産をvar. sambucina、台湾原産を var. pubescensとすることがあります)
山地の林、乾燥した場所に生える半蔓(つる)性の樹高1~2mの落葉低木
分布 本州(愛知県以西)、四国、九州、台湾
https://kikusahana.exblog.jp/24035766/
Rosa sambucina Koidz.の特徴
花 5弁,柱頭に毛が多く,雄しべは多数。花柱は有毛
花の大きさ 直径4~5㎝
花柄 長さ3〜5cm、軟毛と短い腺がある
花の色 白
香り ダマスク系の甘い香り
葉 互生,奇数羽状複葉。葉身は長さ11~15㎝。小葉は2~3対,長さ5~10㎝。頂小葉は側小葉よりもやや大きい。両面とも無毛で,表面にはやや光沢がある。裏面はやや白い。先は鋭く尖り、縁には鋭い鋸歯がある。
托葉 幅が狭く、ほぼ全面が葉柄に合着し、縁には腺毛がまばらにある。
花期 5~6月
ローズヒップ 11月頃に直径約1㎝の扁球形の赤い実が熟す
刺 鉤型で,他の植物にのしかかるようにして,大きく成長する。
日本に自生する他の薔薇と比較して、すぐに判別出来るほど大きい、Rosa moschata J.Herrmに近いサイズの花を付けます。
Rosa sambucina Koidz.の分布
※埼玉県・東京都・神奈川県では、季節や地域により指定カテゴリーが異なりますが、本システムでは埼玉県では全県のカテゴリー、東京都・神奈川県では最も危惧度の高いカテゴリーを表示しています。http://jpnrdb.com/search.php?mode=kind&q=06&pageID=8&t=f&cd=0603056&s=scd
Rosa sambucina Koidzの自生地(日本、台湾)、西側はRosa moschata Herrmの自生地
Rosa sambucina Koidzはもとから日本と台湾に自生していた薔薇でしょうか。上の地図を見ていると色んな疑問が湧き出てきます。仮に、Rosa sambucina Koidzが運ばれてきた薔薇だったらという疑問です。何時? どうやって? 何故?