ディグビィから3年後の1672年著のHanna WooleyによるThe Queen-Like Closetから
ハンナ・ウーリー(Hannah Woolley、1622 - ca1675)は、家事管理に関するさまざまな本を出版し,この分野で生計を立てた最初の人物です。母親や姉妹から医学や手術の技術を学び、学校の教師と結婚して教育や医療に携わりました。1661年に夫が亡くなってからは、料理、刺繍、手紙の作法、薬の処方、香水の作り方などを扱った本を出版しました。これらの本は非常に人気があり、そのため素人ながらも医師としての評判を得ました。1666年に再婚しましたが、夫は1669年に亡くなります。彼女のレシピは無断で他の本の中に引用され、しかもその本は何度も再版されています。そんな彼女のタラゴンのレシピから;
絵は Collard Green and Cornbread Stuffed Beef Tenderloin | It's My Side of Life (itsmysideoflife.com) からお貸ししました(Hannah Woolleyのレシピとは少し異なりますが)
カラードビーフ(Collar'd Beef)
良質な牛の腰肉を用意して、井戸水と塩、または硝石(硝酸カリウム)に1日と1晩漬けておく。次に、胡椒、メイス、ナツメグ、生姜、クローブ、タラゴンを少量準備する。スパイスを砕き、タラゴンを細かく刻み、これらを細かく砕いたスエットと混ぜて牛肉の上に振りかける。ぐるりと(肉を巻いてその周りにヒモを)巻いてしっかりと縛り、クラレットワイン(ボルドー産赤ワイン)とバターで、鍋の中で焼く。鍋は密閉しておき、鍋の中にはこの料理に相応しい食材を入れて肉が沈んで焦げないようにする。オーブンには家庭用パンと一緒に入れて焼く。焼けたら取り出して冷まし、食べる前に1晩煙突に吊るしておく(熟成させます)。必要であれば好きなだけ長く吊るしておくことができます。ベイリーフを添えて、マスタードと砂糖でいただきます。
括弧内に注釈を付けておきました。
硝石は発ガン性が心配ですので、水と海塩を使ってスパイスとハーブを使うと良いでしょう。脂を肉に巻いて加熱し、少し煙らせるとハーブ味の赤身肉を使った日持ちのするカラードビーフの出来上がりです。ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンを使った少しヘビーなワインが合うと思います。Hannah Woolleyはただ者ではありません。料理以外の著述を見れば一目です。なお“Collar'd Beef” は肉片をくるくると巻いて調理するのでカラードビーフと訳しました。
つづく