7/31日に ”このあたりで今まで学んだ知識を整理する意味から、実際にパンを焼いてみましょう。モルトを使ったパンをご紹介します。英国タイプの( ストレート法 )でイングリッシュブレッド( 山食 )を作ろうと思います。” と言って始まった、今回はその続きです。( 新しい今回の記事は中ほどから始まります。)
材料;
超強力粉 50%
小麦粉 50%
モルトパウダー 0.1%
イースト 1.6%
水 66%
塩 2%
ショ糖 1%
バター 2%
1. 全ての材料を上から順にボールに入れてしっかりとグルテンが出るまで混ぜます。ドウの温度は24℃ になっているようにします。 ( 今回は、塩とショ糖とバターは一番後から入れることにします。ドッサっと一度に混ぜても結果は大して変わらないと思うけれども、今まで学んできましたからね。)
2. 1時間したところでフォールドし、そのあと1時間休ませます。
( フォールドのことは「セモリナブレッド」のところで一度出てきましたが、パンチではなくフォールドします。私も以前はこの段階ではパンチをしていたのだけれど、パンチをすることに納得がいかなくて、最近はフォールドしています。ドウをボールから取り出して長―く延ばします。そのまま反対側へ折り畳んで、折り畳んだ先から反対側へ長―く延ばして折り畳みます。3回ほど繰り返すとその中に含まれている気泡を一方方向へと整理することと、気泡と同時にグルテンの方向も一方向へまとめることが出来るので食べたときの触感が滑らかになります。切った時の見た目もいいかな。)
3. 型に合わせてドウを分け、粉を振ってまとめ、10-20分間休ませて成型をして型に入れます。
4. 1 1/2―2時間発酵させます。
5. スチームをして220℃で40-45分間焼きます。
美味しく焼けたかな?
手順4.のところで急に大きく膨らみました。1 1/2 時間待たなければならないところを45分くらいで予想外の大きさになりました。焼き色は少し濃いようです。食べた感じ少し塩がかっているかな?というところです。キメは見た通り粗いです。
室温が27℃あって、最初の捏ねの段階から温度が高かったようです。27℃ではアミラーゼの活性が高くモルトは必要なかったかも。塩が少し多めで、過剰な発酵を阻止してくれるかなと思っていたのですが・・・・・・・・言い訳はこのくらいにして、もう一度焼こうと思います。室温27℃は変えられそうもないので、そして、塩はこれ以上増やせない ----------- 色々と考えてみました。
そこで今日8/10にモルトの代わりに”全粒粉”を使って焼いてみました。全粒粉の中に含まれているであろう、”アミラーゼとプロテアーゼ” に期待して、全粒粉がモルトの代わりをしてくれるかな?という目論見からです。モルト0.1%の代わりに、全粒粉を16.6%を入れました。小麦粉は強力粉100%です。その他の変化はありません。
室温は同じ27℃。少し高いかなというところです。前回と比べてクラストの色づきはやや少なめ。クラムはもちもち感があります。この間よりも目が詰まった感じです。クラムも少し固めです。
全粒粉の中に含まれる酵素の働きは、166 倍を入れたにも関わらず、いや期待通りだったかも。全粒粉を入れたことで、モルトの働きと共に全粒粉の働き?も一緒に出たのだろうと感じました。そのためにモルトの働きが少しセイブされたのだろうと思います。
全粒粉の中には胚芽油が含まれています。その 80-90% はトリグリセリド※です。同じく全粒粉の中に含まれているリパーゼにより3つのパルミチン酸に加水分解されたものと思われます。パルミチン酸は常温では白色の固体で水には溶けない性質を持っています。そのために吸水性が悪くなり、グルテンの形成が不良になったのだと推測します。クラストの色づきの悪いのはマルトースの生成が悪かったからでしょう。
※ トリグリセリド。緑色がグリセロール部で、3分子のパルミチン酸がエステル結合しています。ここが外されたのです。( 上の絵はWikiからお借りしました )
パン作りって中々奥が深いですね。全粒粉をモルトの代わりに使うという目論見はもろくも崩れました。
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